「VR30DDTTのポテンシャルを解き放て!」フェニックスパワーによるRZ34チューニング最前線!

ECU&吸排気チューンで480馬力をマーク!

最高速ステージ対応のエアロチョイスも見どころ

フェニックスパワーを率いる横山代表によれば、フェアレディZ(RZ34)のエンジンチューニングは、搭載エンジンが同じスカイライン400R(RV37)とアプローチは共通。ECUでブーストアップと燃調制御を最適化し、吸排気系のチューニングと組み合わせて500ps前後へのパワーアップが目標になるそうだ。

ただし、これだけだと吸気温度がすぐに上昇してしまい、ECUによるフェイルセーフが介入してしまう。この問題を解決するために、水冷インタークーラーの冷却水を冷やす『大容量ヒートエクスチェンジャー』を装着して対処するという部分も400Rと同じ手法だ。

ところが、実際にデモカーのRZ34(AT車)を400Rと同じアプローチでチューニングを進めていくと『400Rに搭載されているVR30DDTTエンジンとはちょっと違う部分がある』と感じているという。ECUチューンのブーストアップで500psオーバーを出せるケースが多い400Rに対し、RZ34(AT車)のECUチューニングは470~480psがいいところ。セッティングで400Rと全く同じブースト圧や燃調にセットしても、50psくらい見劣りするそうなのだ。

「まだ断言できるだけの検証データが無いんですけど、『RZ34のAT車はタービンが小さいんじゃないか』という説がある。確かに低回転のピックアップは良いですしピークパワーが出ないので、そうかもしれんな、という感じす」と横山代表。

また、純正ターボはエキゾーストハウジングが小さすぎて1次排圧が上がってしまい、ブースト圧の設定も最大で1.5キロかかった後、徐々に1.0キロまで下げる設定。ハイブーストを維持しようとするとタービンの許容回転数を超えてしまい、ブローする恐れがあるためだ。

しかし、この辺りの制御は最新のECUセッティングで対応済み。この他にも吸気温度が上昇した際に入る急激なフェイルセーフ制御も、壊れない範囲で少しずつパワーを落としていくマネージメントにリメイク。出来る限りハイパワーを維持するECUチューニングが完成しつつあるという。

その上で400Rでも効果絶大だった『大容量ヒートエクスチェンジャー』をインストール。しかも、RZ34専用品を新たに開発して、400R用では純正比で約2.4倍だった容量を3.5倍まで拡大して冷却性能を高めているそうだ。

エキゾースト環境は、トラストのキャタライザーとパワーエクストリームRマフラーで統一。キャタライザー導入の効果は非常に大きく、ピークで40ps近い出力向上を実現したというから恐れ入る。

ワークスカーは高速周回路での最高速290km/hオーバーをターゲットとして開発を進めているため、サスペンションやエアロパーツもきっちりと手が入る。

「エンジンパワーやトルクも重要なのですが、バンクで安定感するサスペンションや、エアロによる適度なダウンフォースも必要なんですよね」とは横山代表。取材の時点ではアラゴスタベースの車高調と、ブリッツと共同で製作したオリジナルのエアロパーツを装着済みだ。

ちなみに、アラゴスタの車高調はタイプSがベースで、各部を最高速用にリメイクしたフェニックスパワーのオリジナルスペックとなる。スプリングは様々なレートを試し、現在はフロント28kg/mm、リヤ18kgmmの設定となっている。これはバンク全域での安定性向上を狙ったチョイスだ。

ホイール&タイヤは、BBS LM(F9.5J R10.5J)とアドバンネオバAD09(F265/35R20 R285/30R20)のコンビネーションだ。

「次回の最高速テストに向けて着々と準備を進めている段階です。ECUはまだ詳細が不明なマップがいくつもあるので、これらが何をしているマップなのかを突き止めて、さらなるパワーアップや信頼性を高めていきたいですね」とは横山代表。

RZ34チューニングの最前線を走り続けるフェニックスパワー。その進化は今後も止まるところを知らない。

●取材協力:フェニックスパワー 福井店:福井県坂井市丸岡町朝陽2-317 TEL:0776-67-2980/京都店:京都府久世郡久御山町佐古外屋敷37-2 TEL:0774-48-1157

【関連リンク】
フェニックスパワー
http://www.phoenixs.co.jp

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