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Z33ミッションスワップで広がる4ドアセダンの新たな選択肢!
6速MTでスーパーチャージャーの性能を引き出す
珍しいY50型フーガ(前期型)の本格チュードだ。Z33やV35と同じVQ35DEエンジン搭載グレードを購入したオーナーは、パワー不足を感じて気鋭ショップ“カーメイキングレヴュー”にスーパーチャージャーの装着を依頼。そこから少しずつチューニングを進めていき、ついに6速MT仕様まで辿り着いたという。細部を見ていく。
まず、エンジンから。HKSのGTスーパーチャージャーキットにフーガ用は存在しないため、Z33用のキットを使って加工装着。エンジン本体には手を入れず、燃料系のみ強化(サード550ccインジェクター&RH9燃料ポンプ)することで、最大ブースト0.6キロ時に実測339ps/49.8kgmを発揮。フルノーマル時の計測値が約250psだったので、実に90psもの上乗せとなる。
フロントラジエター前には、エンジンオイルクーラーとインタークーラーが並ぶ。なお、インタークーラーはZ33用キットのコアを使い、ワンオフのパイピングで美しくレイアウトしている。
エキゾースト環境もキッチリと手が入り、東名パワードのEXマニからスポーツ触媒を経てタナベのスーパーメダリオンマフラーに繋がるレイアウトを構築。ちなみに、テールエンドは4本出しに加工していたりする。こういったワンオフ製作はレヴューの得意分野だ。
足回りはIDEALトゥルーヴァ(F9kg/mm R7kg/mm)を軸にセットアップ。ブレーキはXYZレーシングのシステムをフロントに奢り、リヤはV36用のキャリパー&ローターを流用。ドレッシーなホイールはワークグノーシスGS4(F8.5J R9.5J)、タイヤはナンカンNS-2(F245/40-20 R275/35-20)をセットする。
そしてミッション。過給機パワーをもっと引き出したいというオーナーの要求に対し、レヴュー前塚代表はZ33用の6速MT化を提案。というのも、Z33のミッションならケース加工無しで搭載できるため、コストを抑えられるからだ。
6速MT化にあたって、プロペラシャフトには長さを合わせるための加工を実施。さらに、ミッションとプロペラシャフト結合部の上に位置するフロアパネルは、シフトノブが突き出す箇所のカットも行っている。
車内側では、当然シフト周りのパネルなどが合わなくなるが、これはCPV35のMT用パーツを組み合わせて対応した。さらに、クラッチをはじめとするペダル関係もCPV35用を流用。本来はペダル式のパーキングブレーキも、違和感なくサイド式へと変更されている。
ここまでの手順でひとまず走れる状態にはなるが、ここで高級車ゆえの問題が発生する。CAN通信の関係で、シフト位置に依存するセキュリティやシートポジションメモリー、バックギアに入れた際にサイドミラーの角度が下がる機構などが機能しなくなってしまうのだ。
しかし、これもオイルパンの中に存在するATコンピュータをトランク内へ移設し、配線加工を施すことで全て解決。また、本来ATシフト周りに装着されているため行き場を失うシートヒータースイッチなども、サイドブレーキ脇に移設してやることで、フーガ本来の機能を全て生かすことに成功しているのだ。
このMT化のコストだが、ミッションなどの純正部品と工賃の総額で80万円から。Y50フーガは中古車価格もこなれている上、良質な個体も多い。そう考えると、MT化を前提としたチューンドベースとしては大いにアリと言えるだろう。
●取材協力:カーメイキングレヴュー 千葉県袖ヶ浦市長浦580-74 TEL:0438-60-3133
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