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FC3SのサスとFD3Sのエンジンを移植した正常進化チューン!
ボディもイチから製作して極上のコンディションへ
1978年にデビューした初代サバンナRX-7、SA22C。当初エンジンは12AのNA(130ps)のみだったが、1982年のマイナーチェンジで165psを発揮するターボモデルが登場し、自動車メーカー間で勃発したパワーウォーズに参入することになった。
さらに、ターボエンジンの搭載に加えて1トン弱の車重、50.7:49.3という優れた前後重量配分など、スポーツカーに求められる要素を高いレベルでバランスさせた1台と言っていい。
とはいえ、基本設計は40年以上も前のため、とくに走りに関しては古さを隠せない。そんなSA22Cのアップデートを図ったのが、老舗ショップ“アクティブ”だ。
一度、ドンガラのホワイトボディ状態に戻してフルレストアを行いつつ、スポット溶接増しによる補強も敢行。そうして生まれ変わった剛強ボディに、FD3Sの13B-REWエンジンを搭載。ポート形状やローター、アペックスシール等は純正のままだ。
タービンは純正のシーケンシャルツインを撤去し、IHIのC6をセット。最大ブースト圧1.0キロ時に380psを発揮する。
マネージメントにはアペックスのパワーFCを採用。HKSツインパワーでの点火系強化も行い、万全の体制を整える。
そんなエンジンに合わせて、ミッションはプロペラシャフト加工を行った上で、ギヤ強度が高められたFC3S用5速MTに交換。パワーに対する耐久性を確保している。
また、エンジン換装にも大きく関係しているのだが、サスペンションメンバーごとFC3S用フロントサスが移植されているのも見どころ。
「サスメンバーは4本のボルトでボディと固定されているんですけど、フロントで位置を決めて、後ろ側2本が合うようにボディ側を加工してやれば、移植はそれほど難しくない」とアクティブの井上さんは言う。
その効果は抜群で、SA22Cのノーマルに比べてFC3S用メンバーは剛性が高く、操安性やハンドリング性能が劇的に向上するというメリットをもたらしてくれる。とくに、高速走行時の安定感が大幅に改善され、ブレーキもFC3S用で容量アップをはたしているため、安心してアクセルを踏めるようになったそうだ。
足回りでは、リヤのリンク類を見直し、ストラットタワーを新規に作ってコイルオーバー化しているのもポイント。
ダンパーユニットは前後ともマツダスピードのFC3Sフレッシュマン用車高調がセットされ、リヤはアッパーマウントを加工することで適正な車高で落ちつくように全長を合わせている。ブレーキキャリパーは前後ともFC3S用で、パッドはエンドレスCC-Xだ。
さらに、リヤサスではロワリンクの交換や、ホーシングの左右の動きを規制するワッツリンクのピロボール化によってスムーズなストロークも実現。限界機でピーキーな挙動が顔を出さないようにしつけられている。
ホイールはフロント8.0J、リヤ9.0JのエンケイRP-01でいずれも16インチ。これにフロント205/45、リヤ225/45サイズのポレンザRE-01Rがセットされる。サイドステップの下にチラリと見えるのはウエストゲートの開放パイプだ。
機能性を重視したインパネ周り。メーターパネルにはオオモリ製タコメーターを中心に、水温/油温/油圧/ブースト圧計などが整然と並ぶ。センターコンソールにはインテグラル排気温計、ブリッツSBC i-D、ビリオンVFCなどが確認できる。
シートは運転席がレカロSP-A、助手席がSR-IIに交換される。運転席はL字ステーを介してフロアに固定され、スライド機構を持たない。ロールケージは6点式に斜行バーとリヤバーを追加した9点式だ。
エクステリアは極上のコンディションをキープ。リヤウイングは翼端部がS14用で、SA22Cのリヤフェンダーに合うように加工して製作したワンオフ品だ。
軽量コンパクトという本来の持ち味はそのままに、後継モデルの純正パーツをうまく取り入れる。このSA22Cは、まさに正常進化を果たしたロータリースポーツなのだ。
●取材協力:レーシングスポーツ アクティブ 埼玉県比企郡川島町上伊草735 TEL:049-299-2066