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オーナーと共に速さを磨き続ける漆黒の380RS
トラクション重視の足回りでサーキットを駆ける!
本格的なレース参戦車両のメイキングを手がける一方で、オーナーのドライビングテクニックに合わせたクルマ作りも得意とする福岡県の“ドリームファクトリー”。
今回紹介するZ33は、そんなショップのスタンスが色濃く表現された1台。オーナーの成長に合わせて、長期的なプランに沿ったチューニングが行われている。
ベース車両がVQ35HR(3.8L改仕様)を搭載したバージョンニスモの380RSという事から、一先ずパワーはこれ以上高める必要はないと判断。
ただし、380RSの心臓部はレーシングエンジンのデチューン版のため、VQ35以上にクーリングパートに神経を使う必要がある。そこで、冷却性能の高さに定評のあるARC製オイルクーラーを投入し、サーキット走行に備えている。
続いて足回り。380RSは標準車に比べてボディ剛性が高く、市販段階でかなりハードなサスペンションが与えられている。そのため『美味しい領域』を使いながら走るためには、乗り手に相応のテクニックが要求されるわけだが、それではピンポイントすぎると考えたドリームファクトリーは、しなやかさを追求したサスチューンを敢行。
軸となる車高調には、クァンタムのハイエンドモデルT3-RSをベースにしたワンオフ仕様を投入。実際にオートポリスを走り込みながら「よく動く足」をキーワードにセッティングを煮詰めた結果、スプリングレートはフロント12kg/mm、リヤ10kg/mmと柔らかめな設定に落ち着いたそうだ。これにより、コジるようなステアリング操作も車両側が許容する懐の深さを手に入れた。
ブレーキに関しても、オートポリスの名物“ジェットコースター・ストレート”で目一杯突っ込めるように、ローターとキャリパーをAPレーシング製のハイエンドモデルに交換。
さらに、ブレーキパッドにはドリームファクトリーオリジナルを装着することで、前後バランスを調整しながら、連続周回でもフェードしないタフネスさを与えた。
エクステリアは、アミューズ・コーポレーションのスーパーレジェーラボディキットで統一しながらも、バージョンニスモの2段形状リヤウイングは残すなど、オーナーのバランス感覚で個性を演出。もちろん見た目だけではなく、冷却性や空力性能の向上はサーキット走行でも有利に働くものだ。
ボンネットは、軽量化による旋回性向上にも効果を発揮するASMのドライカーボン製をチョイス。「スパルタン過ぎるのはちょっと…」というオーナーの意向で、表面はボディ同色に塗装されている。
マフラーはバージョンニスモのリヤビューに負けないインパクトを追求して、ドリームファクトリーでワンオフ製作。フルチタンの4本出しというシステムは、機能性のみならずNAチューンドらしい高周波サウンドも大きな魅力だ。
フロントフェンダーがワイド化されていることに合わせて、タイヤは前後275/35-18のディレッツァZIIスタースペックをインストール。ホイールは剛性の高さに定評のあるボルクレーシングTE37RTだ。
今後はホームコースであるオートポリスで走り込みを重ね、現在のエンジンパワーを使い切る事ができた暁には、本格的なパワーチューニングを行っていくそうだ。貴重な380RSを臆する事なくイジり倒すオーナーに敬意を表しつつ、さらなる進化に期待したい。
●取材協力:ドリームファクトリー 福岡県福岡市南区弥永5丁目18-18 TEL:092-574-5591
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