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お金を掛けずに時間とセンスで磨く!
バランスを整えたカッコ良さが際立つ
神は細部に宿るという言葉があるが、これは「細部(ディティール)への拘りが作品の本質を決める」という意味だ。
今回紹介する“えびつん”さんのBRZは、STIのオプションエアロに、GR86用リアスポを装着した純正カスタマイズ仕様。車高をグッと落とし、タイヤレターをあしらったトラックスタンス系のルックスで決めている。
鮮やかなライトニングレッドのカラーもさることながら、各部のクリアランスや配色アレンジなどを絶妙にバランスさせる。作業はほぼDIYだと言うが、素直にカッコ良いと思わせるフィニッシュは、センス以外の何者でもない。家業がカスタマイズショップで、幼少期から様々な車両を見てきたことが、マシンメイクに大いに役立っているのだろう。
「父親はAE86で腕を磨いた世代で、子供の時から備北に出没。AE86でドリフトというのが身近な存在でした。その影響もあって“買うならAE86”と考えましたが、高校卒業後に県外で就職するのが決まり、当時は整備にも自信がなかったので、86(ZN6)が愛車候補の筆頭でした」。
最終的に購入したのは先代BRZ。86ではなくBRZとなったのは、スバル本社に就職したため。群馬では休みのたびにサーキットに出向いて腕磨き。その後、紆余曲折を経て現行型に乗り替えたそうだ。
「今年からは家業のショップの一員となったので、恥ずかしくないタイムで走りたいという思いが強くなり、ドラテクや速く走るためのセットアップにより一層力を入れています。マシンメイクの拘りは“お金を掛けずにいかにカッコ良く見せるか”というもの。まだ小手先のカスタムですが、幸いにもイジる環境は整っていて、時間的な制限もないので、試行錯誤しながら楽しんでいます」と、えびつんさん。
心臓部のFA24は、パワークラフト製のEXマニとオートサービスシグナル製のワンオフドリフィンテールマフラーで排気系をブラッシュアップ。存在感を主張するインテークダクトパイプは、レイルのデモカーを参考に装着したものだ。今後はECU-TEKでパワー系を強化していく予定とのこと。
足回りはテインのモノレーシングを軸にセットアップ。キャスターを限界まで寝かせて(6度40分)セルフステアの弱さを補っている。キャンバー角は265サイズのタイヤ(シバタイヤTW180)を飲み込むためにネガ4度の設定だ。
ブレーキはGRBインプレッサ用のブレンボを移植。ポルシェのPCCBオプションのイエローにリペイントして、エクステリアに華を添える。ローターはフロントにGDB型インプレッサ前期、リヤにBRZ ts(ZC6)用を導入する。ホイールはウェッズスポーツのSA-10R(18×9.5J+45)だ。
シートはブリッドのジータ4に交換されているが、純正のシートヒーターユニットを移植して快適性を確保しているのがポイント。4点式シートベルトはHPI製。オートサービスシグナルのアクセルペダルオフセットスペーサーは、ヒールアンドトゥがしやすくなるのでお勧めとのこと。
「車高は約60mm落とし、ツラウチ&タイヤ被りのスタイルは好きなのですが、サーキットではストローク量が足りず踏み込めない領域があるので、不本意ですが20mmほど車高を上げる予定です。目指すはタカタサーキットの分切りですね」。
今後はECU-TEKを用いた性能開放が先決。走りとビジュアルという、譲れない2つの要素を探究し、理想に近づけている真っ最中なのだ。
PHOTO:高原義卓/REPORT:山崎真一