「バブル絶頂期の名作は伊達じゃない!」シルビアのコンバチはやっぱり最高だった!!

ボディ架装をオーテックジャパンが担当した特別仕様

CA18DETに4速ATのみの組み合わせ!

トヨタに肉薄する勢いで、バブル期にヒット作を飛ばしまくった日産。その先陣を切ったのがY31シーマとA31セフィーロ、そしてS13シルビアだ。

1988年デビュー組の1台であるS13シルビアは、1.8L直4DOHCターボのCA18DET型(175ps/23.0kgm)を載せるK’s、そのNA版CA18DE型(135p/16.2kgm)を搭載するQ’sとJ’sという3グレードで展開。そんなS13の発売と同時に発表され、2ヵ月後の1988年7月に追加ラインナップされたのが、オーテックジャパン製のシルビアコンバーチブルだ。

ベースモデルはCA18DET型を載せる最上級グレードにして最速のK’sだったが、コンバーチブルは“走る”のではなく“流す”クルマと日産が判断したのだろう。ミッションに5速MTの設定はなく、4速ATのみとされた。また、生産は当時すでにBe-1を送り出し、後にパオやフィガロを手掛けることになる髙田工業が担当した。

国産オープンカーは沢山あるが、シルビアコンバーチブルで注目したいのはソフトトップの収納方法だ。それまでのオープンカーは開閉が手動にしろ電動にしろ、たたんだソフトトップをトノカバーで覆うのが一般的だった。

しかし、シルビアコンバーチブルではトランク前方に開閉式パネルを設け、その下にソフトトップを格納するハードカバー式を採用している。その理由として考えられることは2つ。

ひとつは、トノカバーを被せる手間が省けるから。これは実際に何台かでやってみての感想だが、ピッタリのサイズで作られているトノカバーは、ソフトトップの折り畳み折み方が少しでも甘かったりすると、ホックで固定するのが一苦労だったりする。もうひとつは、むしろ理由としてはこちらの方が大きいような気がするが、オープン時のスタイリングがスマートだから…なのではないかと。

以下、ソフトトップを開ける手順だ。まずルーフ前端を固定してる2ヵ所のロックを外し、運転席右側サイドシル部にあるレバーを引いてソフトトップ後端のロックを解除。ソフトトップ後端を持ち上げる。

続いて、運転席側Bピラー部のスイッチを操作してハードトノカバーを開け、ルーフオープンのスイッチを押す。

するとウィ〜ンと音を立てながらソフトトップが自動で折り畳まれていく。

最後にハードトノカバーを閉めればオープン作業は完了。後に登場するZ32型フェアレディZコンバーチブルでも同様のハードカバー式が採用されたのは、恐らく偶然ではない。きっと、シルビアコンバーチブルでの実績を踏まえてのことだと推測できるわけだ。

オープンにしたシルビアコンバーチブルはたしかに見た目がスマート。「トノカバーの盛り上がりがないと、こんなにも印象が変わるのか!」と思うほどだ。そもそも、スペシャリティクーペとして誕生したS13は、コンバーチブル化で不格好になったなどということは当然、許されるはずがない。専用カタログにも、『スペシャルティカー<ニュー・シルビア>の、もうひとつのスペシャルティ――コンバーチブル』という記述があるくらいなのだから。

手前にスラントしたダッシュボード&センタコンソールは、直後に登場するR32スカイラインやZ32フェアレディZにも見られるデザイン。ウインカーレバーの奥に見えるのが、電動開閉式ソフトトップのメインスイッチだ。スピードメーターと並んだタコメーターは7000rpmからイエローゾーン、7500rpmからがレッドゾーンとなる。

前席はヘッドレスト一体型のモダンフォルムシート。その生地には撥水処理を施したツィード調ニットが使われる。

後席は背もたれが直立していて座面も深くえぐられているため、どうしても体育座りのような格好になってしまう。左右トリムにはリヤクォーターウインドウの開閉スイッチとリヤスピーカーが装着される。

運転席に収まってみると、見慣れたはずのインパネなのに、頭上に遮るものがないだけで雰囲気がまるで違う。Dレンジに放り込んだままアクセルペダルを踏み込む。CA18DETは3000rpm前後までは眠たげだが、3500rpmを超えたあたりから急激にパワーを立ち上げる昔ながらのターボエンジンだ。そこから、タコメーター読み6500rpm弱までパワーを放出し続ける。一言で爽快だ。

確かに絶対的な速さは知れている。しかし、何より風をダイレクトに感じ、エンジン回転の上昇に合わせてボリュームを増す柿本改マフラーのエキゾーストサウンドもハッキリと耳に届くため、体感的な速さは相当なもの。「オープンカーだったらこういう愉しみ方ができるんだ!」と思わず目からウロコだったのは本当だ。

■SPECIFICATIONS
車両型式:S13改
全長×全幅×全高:4470×1690×1290mm
ホイールベース:2475mm
トレッド(F/R):1465/1460mm
車両重量:1250kg
エンジン型式:CA18DET
エンジン形式:直4DOHC+ターボ
ボア×ストローク:φ83.0×83.6mm
排気量:1809cc 圧縮比:8.5:1
最高出力:175ps/6400rpm
最大トルク:23.0kgm/4000rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/マルチリンク
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:FR185/70R14

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
●取材協力:ゼネラルウイングモーター 群馬県富岡市内匠271-1 TEL:0274-62-6583

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