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LYヘッドを軸に作り込まれた600馬力のツインターボ仕様!
最先端のチューニング技術でレトロフィット
Gノーズにオーバーフェンダーと、240ZGをモチーフに当時の走り屋スタイルで仕上げられたS30系フェアレディZの登場だ。生粋のマニアなら、後期型のS31にレース用マグホイールの組み合わせを見て、詳細が気になってしまうことだろう。
実はこの車両に搭載されるL型エンジンには、超希少な本物のLYヘッドが搭載されているのだ。
そもそもL型エンジンは、キャブとEXマニが前から見て右側にレイアウトされている。これをターンフローと呼ぶのだが、燃焼効率や熱問題を考えると最適とは言えない。
そこで当時の日産ワークスは、左側にキャブ、右側にEXマニというクロスフロー方式のスペシャルヘッドを開発。“LYクロスフローヘッド”と呼ばれたそれは、レーシングオプションとしてワークスマシンを始めとする一部のレース車両に供給されたのだ。
日産大森スポーツコーナー(現NISMO)からエンドユーザー向けにも販売もされたが、ヘッドだけで約300万円もしたため一般にはほとんど出回らず、実際にLYクロスフローヘッドの現存数は10機前後と言われている。
そんな貴重なヘッドを使ったL型エンジンは、3.1Lまで排気量を高めた上でツインターボ化を敢行。エンジンの製作を担当したのは、ドラッグチューンでも知られる“エスコート”。2バルブ、クロスフローのLYヘッドに合わせたターボ用ピストンの製作に始まり、EXマニを中心にした補機類のセットアップなど、全方位ワンオフの塊だ。
組み込まれたタービンはTD06-20Gのツイン。エンジンのパフォーマンス的には600psオーバーも軽く狙える仕様だが、駆動系のキャパシティや貴重なヘッドの耐久性を考慮してブーストは抑えている。
インマニはRB26DETT用を加工してインストールし、サード製のデリバリーから燃料を供給する。スロットルはシングルだ。
そうして高めたパワーを安定発揮させるべく、弱点である点火系も徹底改良。デスビを廃してRB26DETTのクランク角センサーを備え、コイル類も同じくRB26用を使ってダイレクトイグニッション化を敢行。これにより、トラブルの根を絶つことができただけでなく、フィーリングも大きく向上させることに成功した。
エンジンマネージメントは最強フルコンの代名詞“モーテック”のM4が担う。後ろに見える3連メーターはHKSのDBメーターRSだ。
ブレーキはこのZが現役当時に流通していた、レース用の対向4ポットキャリパー。LYヘッドに並ぶレアパーツだ。
ブレーキマスターはS14シルビアの純正に変更。マスターバックの移設は、専用のアダプターを製作して行なっている。
コラム上にHKSのブーストメーターが設置されているくらいで、コクピット周りのメイキングは非常にシンプル。ステアリングは往年のダッツンコンペだ。
シートはレカロのスポーツJJを2脚セット。最新のリクライニングバケットは、ビジュアルもドライブフィールも旧車の質感を大きく高めてくれる。
GノーズにS130Z用ボンネットダクト、ナポレオンのフェンダーミラーなど、エクステリアも往年の必勝スタイルでコンプリート。
ホイールも希少な当時のレース用マグホイールを装備。255/45-15のピレリP700をすっぽり収めるオーバーフェンダーは、純正より大きく作られたアフター品だ。
旧車ファン垂涎のスタイリングと、超レアなレーシングエンジンが与えられた真紅に輝くS31Z。まごうことなき国宝級のスーパーチューンドだ。
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