「ランエボと同じ4G63ターボを搭載!」RVRのモデル末期に投入されたエボリューションモデルは特別だ!!

RVRのモデル末期に投入されたエボリューションモデル

前置きインタークーラーの採用が本気の証!

レクリエーショナル・ビークル・ランナーの頭文字を取ったRVR。1991年2月に登場し、1994年9月のマイナーチェンジで4G63ターボを搭載する3つのスポーツモデル、X3、スーパースポーツギア、スーパーオープンギアが加わった。

いずれもスペックはシャリオリゾートランナーGTと同じく5速MT車が230ps/29.5kgm、4速AT車が220ps/30.5kgm。基本は5ナンバーだが、スーパースポーツギアのみワイドフェンダー化で全幅が1740mmに拡大し3ナンバーとなった。

取材車両のハイパースポーツギアRが追加されたのはモデル末期の1997年1月のこと。まず目を引くのは外装で、開口部を拡大したフロントバンパーや大型サイドステップ&リヤスポイラーなどが装備され、まさにRVR“エボリューション”と言ってもおかしくない攻撃的なルックスとされた。

エンジンは4G63ターボながら、シャリオリゾートランナーGTを20ps/2.0kgm上回る250ps/31.5kgmを発揮した。この数値、初代ランエボと全く同じで文句なしに初代RVR最強モデルとなった。

スペック向上の要と言えるのが前置きインタークーラーの採用だ。トップマウント式のシャリオリゾートランナーGTに対してコアサイズが大きく、走行風をより効率よく当てられるため冷却性能が大幅にアップ。パワー&トルクの絶対値を引き上げることに成功している。

ダッシュボードやステアリングホイールのデザインはシャリオリゾーランナーGTと全く同じで、ここだけを見ると区別がつかない。

メーターのデザインや配置も共通だが、よりスポーティなイメージを演出するために白い文字盤を採用するのがハイパースポーツギアRならではの部分だ。

運転席はレカロSRIIIに交換、助手席は標準装備されたレカロになる。SUVとは思えない加速性能やコーナリング性能を持つだけに、ホールド性に優れたシートはハイパースポーツギアRにとって必須パーツと言える。

後席は300mmものロングスライド機能を持つ他、背もたれは50:50分割でのリクライニングも可能。足元も広々で乗れるから居住性は抜群に良い。

さらに、後席はダブルフォールディングでき、2名乗車なら広いラゲッジスペースを生み出せる。4人乗りであることに納得できれば、ボディサイズも含めてこれほど使い勝手のいいクルマはそうそう見当たらない。そういう意味で初代RVRは名車と言えるだけに、2010年に復活した3代目RVRに大きく失望した三菱ファンも少なくないはずだ。

そんなRVRだが、1997年9月にフルモデルチェンジが行なわれ2代目が登場。ハイパースポーツギアRの生産期間はわずか8ヵ月に留まり、約700台が生産されたにすぎなかったのだ。

同じシチュエーションでシャリオリゾートランナーGTと乗り比べてみたが、2台の印象はかなり違っていた。車重こそハイパースポーツギアRの方が20kgほど重いが、パワーで20ps、トルクで2kgm上回っている分、加速性能は確実に一枚上手。低中回転域のトルク感はそのままに、高回転域でパワーがもうひと伸びしてくれる。

それと、ホイールベースが200mm短いハイパースポーツギアRはステアリング操作に対する挙動がよりダイレクトだ。ターンイン時のノーズの入りはリゾートランナーGT以上にクイックで、特に右、左…と素早く切り返すような状況での身のこなしは、RVとは思えないほどに機敏だったりする。ひとつだけ言えば、リゾートランナーGTより全高も重心も高いからコーナーでボディを揺すられる感覚が強く、フィーリングとしてはパジェロエボリューションに近いかもしれない。

4人乗りということもあって実用性ではリゾートランナーGTに一歩譲るものの、走って楽しいのは断然ハイパースポーツギアRだ。2代目RVRにも4G63ターボ搭載モデルはあるが、やり過ぎ感すら漂う見た目も含めて、コイツにトドメを指すのは間違いない。

■SPECIFICATIONS
車両型式:N23WG
全長×全幅×全高:4440×1740×1740mm
ホイールベース:2520mm
トレッド(F/R):1485/1460mm
車両重量:1490kg
エンジン型式:4G63
エンジン形式:直4DOHC+ターボ
ボア×ストローク:φ85.0×88.0mm
排気量:1997cc 圧縮比:8.5:1
最高出力:250ps/6000rpm
最大トルク:31.5kgm/3000rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式(F/R):ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ:FR215/65R15

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
●取材協力:SKT 東京都あきる野市横沢欠ノ上43-1 TEL:042-519-9826

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