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スキ無く熟成されたサーキット仕様!
研ぎ澄まされたセットアップは鋭いコーナリングを実現!
“楽しさをともなう速さの引き出し”をコンセプトに、S2000チューニングに邁進してきた“RG-O”。今回披露してくれたマシンは、鈴鹿サーキットでのスポーツ走行にウエイトを置いて仕上げたAP2だ。
とはいえ、ストリート仕様と異なるのは、鈴鹿のスピードレンジを踏まえて引き締めたフットワークやアドバンA052でグリップレベルを高めたタイヤマッチング程度となっている。
というのも、RG-Oではターゲットステージに関係なく、コントローラブルでリニアなハンドリングを重視したナローボディでのセットアップ、メカニカルグリップをしっかり高めたフットワークに上乗せする空力チューンといったアプローチを貫き、S2000の人馬一体感を研ぎ澄ましてきた。
タイムアタック特化ならば、ワイドボディでのトレッド拡大や空力の大幅強化を行なうことも可能だが、パッケージバランスの重視こそS2000チューンの真骨頂と考えているわけだ。
吸排気チューン&ECUで十分なポテンシャルを引き出せるF22Cだが、製廃の不安がつきまとうパーツ供給事情も踏まえて、コンディション良好な段階でフルバランス加工のメンテナンスを実施。輸出用ピストンを組み、圧縮比11.7のハイコンプ仕様に仕上げている。
マフラーは、バンパー焼けやスタイリングに配慮したプチドルフィンテールのオリジナルエキゾーストVer2.2。60φ→48.6φWとなる左右出し仕様だが、エンジンチューンやアタック走行で要求される排気効率を満たすべく、60φ→50.8φWのモデルも用意されている。
足回りは、空力に頼らずトラクションを高めることを重要視して仕上げたエナペタルベースのオリジナル車高調(F18kg/mm R20kg/mm)でセットアップ。キャンバージョイントを使用せずに、偏心カムでフロント3度&リヤ4度半のネガティブキャンバーセッティングとしているのもポイントだ。
走りの安定感を左右するブレーキは、コントロール性と前後バランスに拘って多彩なマッチングを精力的にテスト。現在はスプーン製キャリパー+IDIパッドの組み合わせだ。
ホイールは、フェンダー加工を嫌うユーザーのために特注したボルクレーシングTE37 SAGA(F8.5J+51 R9.5J+61)。ランニングコストやコントロール性に優れる17インチでセットアップする。
タイプSスポイラーのボトムを少し押し出すように仕上げられたフロントアンダーパネル。GTウイング投入で不足するフロントダウンフォースを車検対応サイズでしっかりと稼ぎ出す。
スワンネックレーシングウイングの空力効果をアシストするのが、トランク上面の走行風を整流&加速させるトランクスポイラー。ハイマウントランプを外してボルトオン装着できる。
このチューンドをセントラルサーキットで試した井入宏之選手は、「ハイコンプ仕様のエンジンはピックアップが抜群だし、ハンドリングもリニアで狙ったラインに飛び込んでいける。かなり“優等生”的な味付けで、弱アンダーステア傾向で扱いやすいし、トータルバランスがめちゃくちゃ高いね」と評価。
「コーナリングマシンであるS2000は、フットワークでメカニカルグリップをしっかり高めてから、必要なダウンフォースを与えていくのがポイント。人馬一体感を意識しながらチューニングを進めていけば、自然と速さに結びついていくと思いますよ」と語るのは、製作者であるRG-Oの大住さん。
S2000チューニングを知り尽くしたトップチューナーだからこその無駄のないパーツチョイスとアプローチ。流石である。
●取材協力:RG-O(レーシングガレージ大住) 京都市北区大宮西山の前町7-2 TEL:075-491-6719
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