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MIVECヘッドを流用の2.2Lフルチューンスペック
パワーFCとF-CON Vプロを同時使用!
サーキット走行でのエンジンブローを機に、“JUNオートメカニック”でオーバーホール&チューニングを進めることになったというランエボ7(CT9A)。
オーナーの要望は、メインステージとしているミニサーキットでの戦闘力アップ。「下からピュンピュン回って上ではパワフル」という特性を目指して様々なメニューが検討されたが、それを実現させるための核として選んだのがランエボ9に搭載されるMIVEC仕様エンジンだった。
高回転キープが可能な高速サーキットならともかく、低中速域も多用するミニサーキットやワインディングでは、やはり可変バルタイシステムのメリットは大きい。コスト的には中古エンジンを使う方が安いが、このランエボ7ではリスクを避けるために、あえて新品のブロックとヘッドをベースにチューンを進めることにした。
腰下は94mmロングストローククランクで2.2L化を図るJUNのカスタムキットEXを投入し、ヘッドにはIN・EXとも272度10.8mmリフトのハイカムと強化バルブスプリングを組み込んだ上で、ポートの段付き修正と鏡面加工も施して効率の向上を狙う。また、チューニングエンジンとしては不要のバランサーは排除された。
ここに組み合わせたタービンが、トラストのTD06-25Gだ。ブースト制御はプロフェックBを使用し、最大ブースト圧1.6キロの設定で474.5psを叩き出す。ウエストゲートはトラストRタイプだ。
エンジンコントロールは、エアフロレスの基本制御をパワーFCで行い、燃調と点火時期はF-CON Vプロ3.3が担当。可変バルタイ制御用のVマネージも加え、計3台のコンピュータを連携させている。
約500psのハイパワーでは燃料系の強化が必須。インジェクターは1000cc、燃料ポンプは255L/hの大容量タイプに変更。トランク内にはコレクタータンクも装備し、サーキット走行に対応させている。
ミニサーキット走行も多いので、冷却系もしっかりと強化。インタークーラーはハイパワー・ハイブースト対応のトラストスペックR-HG。ラジエターはコーヨーで、オイルクーラーはトラスト製の13段タイプに変更。
排気系はEXマニとフロントパイプがタービンキット付属のトラスト製で、エンドマフラーはフジツボのチタンタイプを投入。駆動系では、RSメンバーの移植でリヤデフをAYCから機械式に変更している点に注目だ。
ハイパワーを支えるサスペンションは、オーリンズの伸圧独立調整が可能なコンペティションモデルのFLAG-L。スプリングレートはフロント12kg/mm、リヤ10kg/mmだ。ブレーキはパッドのみディクセルに変更している。
クスコの7点式ロールケージがしっかりと組み込まれた室内。インパネ周りにはデフィのブースト、水温、油温、油圧、燃圧の各メーターに加え、AFモニターが見やすくセットされている。
「このエンジンを製作したのはずいぶん前になりますが、よりブーストの立ち上がりに優れた最新のギャレット製やボルグワーナー製のタービンを使えば、さらにフラットなパワー特性が得られるはずです」と補足を加えてくれたのはJUNオートメカニックの畑仲さん。
このチューンドを峠で試乗したレーシングドライバーの菊池靖選手は「さすがJUNが手がけたマシンという感じで、2.2L仕様のお手本のようなフィーリング。とくに快感なのは4500~6000rpmで、この領域では実際の回転数と体感上の回転数に差が出るほどの強力なパワーを味わわせてくれる。足回りや駆動系のセッティングも今回の試乗コースにはバッチリ合っていたので、不安感なく攻めていけた。ランエボ9の最終モデルにMRってあったけど、これはエボ7MRって感じの完成度だね」とコメント。
歴代ランエボの全てを知り尽くしたJUNオートメカニックならではの“技”が、あらゆるパートに注ぎ込まれたランエボ7。プロドライバーをも納得させるそのメイキングは、流石としか言いようがない。
●取材協力:JUNオートメカニック 埼玉県入間市狭山ヶ原松原102-1 TEL:04-2934-5335
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