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ミラージュのボディにランエボの魂をフル注入
10万円で買ってきたハコにランエボの中身をそっくり移植!
このクルマを見て、ミラージュだと見破れる人が一体どれだけいるのだろうか?香川県の“パワースにしもり”が製作したチューンドの姿は、ランサーエボリューションVそのもの。そればかりか、エンジンなど機関系までそっくりランエボのものに載せ換えられているというから、驚きを通り越して呆れてしまう…。
オーナーは元々ランエボに乗っていたのだが、とある走行会で全損級のクラッシュを起こしてしまった。そこでハコ替えしようと、ランエボの廉価版であるランサーセダンを探していたそうな。そんな時に偶然発見したのが、兄弟車であるミラージュセダン。その4WDモデルが10万円という超ロープライスで中古車屋に並んでいた。「フレームも共通のようだしハコ替えベースとしては最適かも…」と、購入するに至ったのだ。
予想は見事に的中し、ランエボの4G63ユニットはマウント位置の変更もなくスッポリ収まった。そして以前使っていたミッションやLSDもごっそり移植。とくに加工の必要もなく、そのままスワップできたそうだ。
ちなみに換装した4G63は、GT3037Sタービン+ハイカム(272度)をセットして最大ブースト圧1.75キロ時に500psを発揮するハイスペック。パワーバンドは3500〜7000rpmと幅広く、街乗りでも扱いやすい特性に仕上げられている。
ワンオフ製作したマフラーは、リヤバンパーから突き抜けるスタイル。これはよりストレートで抜けの良いレイアウトを追求した結果だ。インナーサイレンサーを外せば、バンパーとツライチになるのが自慢とのこと。
足回りもランエボから移植したもので、バーディクラブの車高調にスウィフトのスプリングをセット。実はリヤのサス形状がランエボとミラージュでは若干異なり、ランエボではアームが追加されていてマルチリンク式になっている。その組み込み作業が最も大変だったそうだ。
パワーチューンも相当なレベルで行っているため、ブレーキ強化は必須。そこで、エンドレス6ポットキャリパーに制動屋のブレーキパッドを組み合わせる。それだけではフロントが効きすぎるので、ブレーキバランサーで前後配分を最適化。さらに、マスターシリンダーは前後用をそれぞれセットする念の入れようだ。
軽量化への情熱も凄まじく、ドア4枚やフロントフェンダーはFRP製に交換。リヤシートは取り払ってしまったのでリヤドアは開く必要がないと、ヒンジさえも廃してしまったほどだ。こうした努力により、車重はランエボ時代から220キロものシェイプアップに成功。1060キロという驚異の軽量ボディを実現したのである。
愛車の状態はMAXレーシングのメーターで一括管理。チルトンのオルガンペダルや、シーケンシャルタイプのミッションを装着するなど、レーシングカーも真っ青のコクピット周り。スポット増しやウレタン補強によるボディ剛性アップにともない、ロールケージは16点式から8点式に変更。これも軽量化を進めるためだ。
一方、外装はランエボ仕様で、フロントバンパーはC-WEST製、サイドステップ&リヤバンパーはKSオート製をセレクトしている。ちなみに、ミラージュの面影が残っているのはトランク部のみ。中央部分のくぼみの形状がランエボとは違うとか。なお、トランクはGTウイングを装着するための強度が必要という理由で、あえてノーマルのままだ。
車重1トンちょいの軽量ボディに500psを発揮する4G63の組み合わせは強烈で、加速性能は700psのGT-Rを超えるほどだとか。オーナーの熱意とパワースにしもりの技術力、恐るべしである。