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心臓部には3.2L化したL型エンジンを搭載!
さりげないワイドフェンダーが魅惑的なボディラインを構築
若かりし頃は、L型チューニングを繰り返しながらストリートドラッグに明け暮れていたという“ヴェイルサイド”横幕代表。
そんなレジェンドチューナーが東京オートサロン2024に送り込んだのが、10年近く前に「いつかは…」という思いで手に入れ、大切に保管していた1974年式のK230型セドリック。実は、幼少期に父親が乗っていたクルマで、思い入れが非常に強いそうだ。
「チューニング業界に身を置いて40年以上。改めて思い入れのあるクルマに対して、今考えられる最高の技術をぶつけてみようと思ったんだよね」と熱く語る横幕さん。そのアプローチは完全なるレストモッドだ。
エクステリアは、前後ともオリジナルのラインを活かしたままワイド化。拡幅はフロント片側10mm&リヤ片側40mmだ。ボンネット、トランク、前後フェンダーは塗装されているが、実はカーボンで製作されていたりする。「あまりニーズがない車種だろうけど、希望があればFRPでも販売できるようにしているよ」とは横幕さん。ボディカラーはR35GT-RのTスペックと同じニレミアムジェイドでオールペン済みだ。
エンジンは、OS技研にカスタムメイドを依頼した軽量ピストン&クランクを組み込んだL28改3.2L仕様。ヘッドには、IN46.5φ/EX38.5φと最大値までビッグバルブ化され、燃焼室&ポートとも寸分の狂いない容量・形状に整えられたJMC-PAMSの製品を投入。圧縮比は11.8:1、カムの作用角は312度でオーバーラップは最大級だ。
吸気系にはライジング製55φスロットルをセットし、排気系は6-1エキゾーストマニホールドとマフラーを自社で製作。キャブチューン時代には低回転でアイドリングさせるのも難しかったような仕様だが、フルコンLINKによる綿密な制御でアイドリングも安定しているそう。なお、クラッチはOSのツインプレート、ミッションはS15純正6速を組み合わせている。
室内もフルリフレッシュを敢行。シートは純正とほぼ同じ素材を探して張り替えた。ステアリングはリプロダクトのダットサンコンペ、メーターはLINKと連動したAIMのダッシュロガーに置き換えられ、スイッチングは純正レバーなどの信号を使いながらPDMで行う。ヒューズやリレーは取り除いて配線も再構築済みだ。
ホイールはRSワタナベのエイトスポーク(F7.0J R9.0J)、タイヤはポテンザRE-71RS(F195/60-15 R225/60-15)を履く。ホーシングは後の世代用でR200。現在はノーマル寸法で装着されているが、将来はセミナロー化してよりワイドなホイールをセットする予定とのこと。
かつて夢中になったクルマを現代の手法で作ったらどうなるのか。誰もが一度は夢見るレストモッドの完成形がこのセドリックと言えるだろう。
TEXT&PHOTO:山本大介/PHOTO:長谷川実路