「GT-Rすらも撃墜できる1000馬力超のクロカン4WD!」HKSが日産パトロールを超改造

最高出力は1014馬力&141.8kgmに到達!

エンジンから駆動系にいたるまでワンオフパーツのオンパレード

5mオーバーの全長と1.9m超の全幅を持つ堂々としたボディに、4.8L直6DOHCのTB48DE型エンジンを搭載する5代目の日産パトロール。ノーマルのスペックは245ps/40.8kgm。ミッションは、国内仕様では5速ATのみの設定だったが、海外仕様では5速MTも用意されていた。

フロントは巨大なエアインテークがボンネットに設けられているが、リヤは完全なノーマルだ。

その海外仕様を魔改造したのがパーツメーカーの雄“HKS”。ドバイのセレブからの依頼で「どんなクルマにも負けないくらいパワーを出してほしい!」とオーダーしてきたのだ。ところが、HKSに専用パーツなど皆無。そのため、エンジンパーツや駆動系まで全てをイチから製作する大作業になったという。

ベースエンジンは、ボア径99.5φ×ストローク量102.0mmから4758ccもの排気量をかせぐ直6DOHCのTB48DE。ライバルの100系ランクルが4.7LのV8を搭載したことに対抗して、日産が開発したエンジンだ。

注目は、言うまでもなくエンジンチューンだ。大幅なパワー&トルクアップを見越して、ワンオフ製作の鍛造ピストンやH断面コンロッド、SNCM材を使ったフルカウンタークランク等で、まず腰下を強化。

一方、ヘッド周りではIN/EXとも264度の作用角を持つワンオフカムが組まれている。サージタンクはカーボン製、またラジエターやインタークーラーなどもワンオフ品で容量アップが図られ、バンパー両サイドには15段オイルクーラーがそれぞれセットされる。

ドライカーボン製の巨大なエアクリーナーボックスもHKSによるワンオフ品だ。

これに、ワンオフEXマニを介してギャレット製GT4508Rタービンをドッキング。エンジンマネージメントはF-CON Vプロが担当し、最大ブースト圧は1.87キロに設定。導き出される最高出力は1014ps/5500rpm&141.8kgm/4000rpm!  これにより、2.5トンに迫る超重量級ボディながらパワーウエイトレシオは2kg/ps台という凄まじさだ。

ノーマルマフラーと同等の形状でシンプルなルックス。

マフラーももちろんワンオフ。排気量が大きく、もともと高回転まで回す必要のないエンジンのため、エキゾーストサウンドは予想以上に静かだった。

140kgmもの強大なトルクにもしっかりと対応できるようにクラッチもワンオフされている。

駆動系も見直しが図られている。クラッチは、フライホイールまで含めてワンオフ製作されたメタルのトリプルプレートを装着。ミッション本体も3/4速を強化。いずれもワンオフパーツで対応していることは言うまでもない。

強化されたミッションのインプットシャフト。
インプットシャフト同様にカウンターシャフトも強化品を製作した。

ミッションのインプットシャフトとカウンターシャフトもスペシャルだ。どちらもノーマルに対してシャフト径を太く設計し、ギヤの肉厚も増すことで、トルクに対する耐久性を高めている。

おなじみのカラーリングのハイパーマックスダンパーがなかなかの存在感をかもす。

右リヤオーバーハングにはミッションオイルクーラーをセット。また、サスペンションにはハイパーマックスベースの試作車高調が装着される。「RV系のサスは初めてだったのですが、オーナーが“真っ直ぐなところしか走らない”とのことなので減衰力、バネレートともにノーマルの数%アップに抑えてます」とのこと。

外装は至ってノーマル。とくにリヤ周りには、1000psオーバーであることを感じさせるモノは何もない。だが、中身はHKSレーシングが本気で作り上げたチューニングカーだ。4000rpmまではかなりダルなフィーリングだが、そこから上のパワーバンドでは鬼のような加速を発揮する。国内テストを担当した谷口信輝選手いわく普通のチューニングカーで例えると「高回転高出力型の500ps仕様」とのこと。

ホイールの奥に真っ赤になったブレーキローターが確認できる。

「強化しなくてもOK」というオーナーのリクエストによって、ブレーキはパッドのみエンドレス製に交換。ところが、予想通り車重とパワーに対して完全に容量が不足していて、国内テストでは走行後にローターが真っ赤になるほどだった。

こうして完成したHKS渾身の超絶モンスターマシン。ここまでくると、ドバイの公道で乗り回すオーナーもまたモンスター級と言わざるを得ない。

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●取材協力:エッチ・ケー・エス 静岡県富士宮市北山7181 TEL:0544-29-1235

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