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日産モータースポーツ界のレジェンドとカスタム界のカリスマが対面
心臓部にはL型改3.1Lフルメカチューンを搭載!
1970年代後半、市販車ベースで改造ほぼ無制限のレース“スーパーシルエット(シルエットフォーミュラ)”が走り屋達を虜にした。
そしてこのレースをきっかけに、街中にはシルエットフォーミュラ仕様を模した街道レーサー達が溢れかえるわけだが、その渦中にいたのが、カスタム界のカリスマ的存在であるリバティーウォーク代表の加藤代表だ。
これまで昭和をテーマにしたカスタムカーを毎年製作し、ケンメリ、S30、サバンナRX-3、ランボルギーニミウラ、フェラーリ308GTB…と、独自の発想からネオ街道レーサースタイルを確立。その最新作にして究極系が、東京オートサロン2020でデビューしたスーパーシルエット仕様のER34だ。
スタイリングは、当時のDR30スカイラインをほぼ完璧にオマージュしながらも現代的な味付けをプラス。トミカスカイラインに採用された赤+黒の色合いにも拘り、おっさん世代からも高い支持を受けた。
リバティーウォークの加藤代表が、ER34ベースとしたスーパーシルエットスタイルの構想を思い付いたのは2019年のこと。現車が飾ってある厚木の日産ヘリテージコレクションに見学(計測?)へ行くと、その構想はさらに現実的となる。
実際のところ、現車のサイズは想像以上にワイドで、ER34で再現するにはCG上でDR30と合成してバランスを見ながらイメージ優先で作り込んでいったと言う。
そのためフロント片側+70mm、リヤ片側+100mmというボディサイズは現車合わせで決定。加藤代表の言葉を借りれば「適当に合わせた(笑)」とのことだが、ER34のボディへと見事にバランスさせている。
フロントフェンダーはノーマルフェンダーをベースに、フィンは部分溶接とアルミで製作。ワイド化されている部分は発泡スチロールを削り込んで形状を確認しながら、型を成型してFRPで製作されている。
リヤも同じ製法でワイドタイヤを入れるために現車のフェンダーを加工。サイドステップはフロントフェンダーの膨らみからリヤフェンダーの立ち上げ部分まで一体化し、シームレスなスタイリング作りを実現している。
ホイールは前後とも11J×18のアドバンレーシングGTをセット。タイヤはオートサロン出展時はスリックだったが、今回はアドバンスポーツの275サイズを組み込んでいた。
アンダースポイラーレスだった当時のリヤビューをそのまま踏襲するのは寂しいとのことから、現代的な大型アンダーディフューザーを用意。リヤウイングは専用品で、サイドから中央のパネルを結合する形状でセンターステーのデザインにも拘った。
エクステリアのみならず“中身”もネオ街道レーサースタイルを表現するために、エンジンマウントを加工してL型の3.1Lフルメカチューンを換装。ソレックス50PHHを装着してセッティングしている。
エキゾーストマフラーも本物にならったサイド出しとし、火を吹くイメージで製作されている。
イエローに塗装されたロールケージが覆い尽くすインテリアも超レーシーな仕上がり。ダッシュボードはFRP製で作り直し、センタークラスターにはアルミパネルに追加メーターをビルトイン。シートはボディカラーにも合わせた赤のブリッドのジータⅣを2脚セットする。
今回は、かつてトミカスカイラインと共に伝説を築いた“Mr.スカイライン”こと長谷見昌弘氏を取材現場にお呼びしたのだが、「綺麗で雰囲気あるねぇ。作ってもらって嬉しいよ」と絶賛。これには加藤代表も「作って良かったです!」と子供のように喜んでいた。
「デビュー2戦目の富士は凄かったね。1周目をトップで帰ってくると満員のグランドスタンドが総立ちで迎えてくれたのが印象的だった。みんなレースで走るスカイラインが大好きだったんだよ。マシンはジャジャ馬で、570psのエンジンはストレートは速かったけど扱いは大変だった」と、令和に蘇ったトミカスカイラインを眺めながら長谷見氏。
なお、このER34スーパーシルエットは、あまりの反響の大きさからコンプリートカー販売を行うことが決定。すでに10台以上の注文を受けていると言うから、リバティーウォーク人気もさることながら、スーパーシルエット伝説の凄さを改めて実感した次第だ。
●取材協力:リバティーウォーク TEL:0561-51-0001
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