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サーキットに響き渡る異質なエキゾーストノート
URASメカニックがノリと勢いで作った魔改造S13シルビア
恐ろしいほどの重低音を響かせながら、サーキットに登場したユーラスS13シルビア。明らかに形状がおかしいボンネットを開けると、そこにはSR20DET…ではなく、トヨタが誇る“ショーファードリブン”であるセンチュリーのV12ユニットが鎮座していたのだ!
このマシンは、URASのメカニックが「誰もやってないことをやってやろう」という意気込みでプライベート製作したもの。たまたまセンチュリーの1GZ-FEエンジンが出てきたため、ノリと勢いでスワップを敢行したのだという。
もちろん、4気筒エンジンとは寸法が全く異なる1GZを換装する作業は難航を極めた。バルクヘッドやコアサポートの干渉箇所はカットし、邪魔になるパワステポンプは電動のMR2用に変更してトランクに移設。さらにオイルパンと干渉するスタビは他車種用に変更して対策するなど、メイク&エラーを繰り返しながらS13シルビアのV12化を実現したのだ。
ヘッドライトとコアサポートの間には、センチュリー用の巨大なラジエターをセット。ドリフトに使用しても、水温上昇の心配は全く無いそうだ。
片バンクごとに設けられるスロットルは、1GZ用より約10mm大径化できるシルビアQ’s用を流用。ステップワゴン用のワイヤーでまとめて引っ張れる仕組みにしているのもポイントだ。
某トヨタ6気筒エンジン用のECUを2基掛けし、必要な信号のみを拾ってエンジンコントロール。コンピュータの書き換えは行わず、リレー&配線加工のみで制御している。
トランクルームには、行き場所を失ったSW20純正の電動パワステポンプが設置されている。
オイルパンが純正スタビと干渉してしまうため、ちょうど良さそうな形状だったY33用を流用。テンションロッドブラケットにマウント部を、ロアアームにスタビリンクをそれぞれ設けてマウントしていた。
ミッションにはRB25用5速をセット。1GZ用のベルハウジングを溶接したニコイチ仕様で大トルクに対応させているのだ。クラッチは1JZ用のOS技研ツインプレートを装着し、ディスクにはRB25用を作っている。
エキゾースト環境は完全ワンオフ仕様。左右バンクから伸びた2本のパイピングを中間で集合させて排気干渉を起こし、低速トルクの増強を狙っている。このマフラーが奏でるV12サウンドは、まさに豪快の一言。
エクステリアはURASのタイプGTエアロパーツで武装。ボンネットはV12エンジンを搭載するために逃げ加工を行なったワンオフ品だ。“マッコウクジラ”を連想させるスタイルがインパクト満点だ。
「とにかく低速トルクがヤバか! 2000rpmも回ればグイグイ加速するし、パワーバンドも広いからドリフトも楽やね。……これ自動車税が大変じゃなかですか! いやはや、バカチンすぎるクルマばい!」とは、のむけん。
ターボ車のように高回転まで使ってパワーを稼ぐ特性とは異なり、超低回転域からモリモリ湧き出る強大なトルクによって、アクセルを軽く踏むだけで蹴飛ばされたように加速する。リニアな扱いやすさという、今時のトレンドとは正反対の漢気溢れるワイルドさが魅力のV12シルビア。これこそ、リアルチューンドの醍醐味だ。(OPTION2誌2010年7月号)
●取材協力:URAS 福岡県大野城市仲畑2-11-17 TEL:092-558-4111
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