「湾岸ぶっ飛び仕様のNA型ロードスター!?」大排気量ターボ勢と真っ向勝負!

500馬力オーバーの格上マシンと戦うリトルモンスター!

第二世代GT-Rを始めとする大排気量ターボ勢が主役の湾岸最高速。そこにNA型ロードスターで挑んだオーナーの愛機が今回の主役。老舗“メカドック”による至宝のパワーチューニングは必見だ。(OPTION誌2005年4月号より抜粋)

260km/hまでの加速性能を徹底追求したチューニング

「このクルマを、湾岸でGT-Rと戦えるマシンにしてください」。オーナーからのそんな熱いリクエストを受けて老舗“メカドック”が製作したチューンドが、このNA型ロードスターだ。

ロードスターのハイパワーマシンは数多く存在するが、ギヤ比やファイナル比の関係で最高速は280km/h止まり。となると、湾岸でGT-Rやスープラなどと渡り合うためには、トップスピードに到達するまでの時間を短縮するしかない。

そのような理由から、老舗“メカドック”は加速性能を徹底的に鍛え上げる方向でチューニングを展開した。細部を見ていこう。

エンジンはBP-ZE改2.0Lの350ps仕様。腰下には、高回転時にクランクプーリーの振れを抑えるための延長加工が施されたクランクシャフトや、パワーに見合った強度を持つファミリアGT-Ae用コンロッド、メカドックオリジナルの鍛造85φピストンなどが組み込まれる。

また、1.6キロというハイブーストに合わせて、燃焼室加工が施し、ヘッドガスケットも1.0mmのものに変更することによって圧縮比はノーマルの8.5から8.0に落とされている。

EXマニは42.7φステンレスパイプを採用したメカドックオリジナルの等長タイプ。排気効率を高めるのはもちろん、エンジンルームに迫力を与える視覚的な効果も抜群だ。

これを介して装着されるのはHKSのGT2530タービンで、ブースト圧はHKS EVCで細かく制御。40km/hまでは0.8キロ、40〜80km/hで1.0キロ、80~120km/hで1.2キロ、120km/h以上では1.4〜1.6キロと車速に応じてコントロールされている。

インタークーラーはアペックスのシルビア用を前置きでセット。ワンオフのパイピングは取り回しの制約もあって60φとされている。また、冷却系ではラジエターがコーヨーの銅3層+FD3S純正電動ファン、HKSのSタイプオイルクーラーも追加されている。

スロットルボディはN15パルサー用の純正70φスロットルを流用。サージタンクはノーマルだが、これでは全く容量が足りておらず、最大ブーストではサージングを起こしてしまうそう。今後はオリジナルで大容量のサージタンクを製作し、さらなるパワーアップを行うという。

制御は助手席の足元にセットされたHKSのF-CON Vプロ。純正コンピュータに対して燃調や点火時期のセッティングをより細かく行える他、エアフロレス化も行うことで吸気抵抗の低減も図られている。

マフラーはオリジナルのレーシングセミチタンマフラー。メインパイプが75φ、テールエンドが113φで現在(2005年当時)販売されているロードスター用の中では最大サイズを誇る。極力曲げを少なくした設計のため、テールエンドがノーマルとは逆向きの左出しとなるのが特徴だ。

ファイナルはノーマルの4.1からAT用の3.9に交換することでハイギヤード化。最高速を重視したものとなっているが、ミッションギヤ比との兼ね合いで5速7500rpmでも265km/hが限界だという。LSDはクスコMZの1ウェイタイプが組み込まれる。

ダンパーユニットはテインタイプRAで、バネレートは標準装着のフロント8kg/mm、リヤ6kg/mm。ブレーキはフロントにNBIIローター、リヤにNA8Cフロントローターを移植し、前後ともにFC3Sキャリパーを備えている。

インパネはダッシュボード中央にブースト圧、排気温、水温計が3連でセットされ、メーターパネル右側に油圧計が並ぶ。スピードメーターはマツダスピードの240km/hフルスケールに交換されているが、それでも足りないほどのパフォーマンスであることは言うまでもない。

シートは2脚ともフルバケットタイプのスパルコREVを装着。サベルトの4点式シートベルトとともに、ハードな走りでも身体をしっかりとサポートする。ロールケージはセーフティ21の9点式で、メカドックオリジナルのサイドシルパフォーマンスバーも備える。

ボディに映えるゴールドのBBS RG-Fは、前後とも7.0J+33。これに組み合わされるタイヤはポテンザRE-01Rでフロントは205/35-R15。対してリヤは、外径を少しでも稼いでハイギヤード方向に振るべく225/50R15というサイズを選択している。

前後のバンパースポイラーはガレージベリー製で統一。特徴的なローマウントのリヤスポイラーはワンオフだ。さらにコクピット大宮北オリジナルのフェンダーアーチでワイド感を演出する。

「260km/hまでの加速勝負なら500psクラスのチューンドを置き去りにしますよ。もちろん、ドライバーの根性次第ですけど(笑)」とはメカドック大槻代表。稀有な湾岸仕様のNA型ロードスター、まさに生粋のリアルチューンドだ。

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●取材協力 メカドック 埼玉県富士見市下南畑661-1 TEL:049-265-4987

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