目次
東南汽車のリオンセルを完全ランエボ化
中国の第二世代ランエボファンが望んだ究極のレプリカ仕様か!?
広東省東莞市のストリートで発見したランエボと思しきチューンド。テールランプのデザインに違和感を感じたものの、どう見てもCP9A…。「ランエボって昔から中国にも輸出されていたのか…」と思ってしまったが、よく考えるとランエボの正規輸出はCT9A型のランエボ8からだ。
そう、このマシンはランエボではない。ベースとなっているのは、ミツビシと技術提携を結ぶ中国の東南汽車で生産されるリオンセルというFFの4ドアセダンなのである。
リオンセルの基本設計は素のCP系ランサーと同じだそうで、1.6L直4の4G18型エンジンを搭載し、外装のみ独自のデザインとされたモデル。そんな中国車のほぼ全域に手を加え、もはやランエボと呼べるレベルの本格チューンドへと仕上げたのは、日本と中国でチューニングビジネスを展開している“GTOレーシングサービス”だ。
エンジンはランエボ6の4G63をフルオーバーホールしてスワップ。カムシャフトはノーマルのまま東名カムスプロケットを組み、バルタイのみ変更。ヘッドガスケットには1.5mm厚がチョイスされている。
また、排気系はEXマニとタービンアウトレットがHPI、フロントパイプがaスペックスペシャル、マフラーがGTOワンオフ品という組み合わせだ。最大ブースト圧は1.5キロに設定され380psを発揮する。また、サード3層アルミラジエターやHPIオイルクーラー&インタークーラーなど、クーリング対策もバッチリ。
トランクルームには容量38Lの安全タンクとコレクタータンクが設けられ、サードとボッシュのポンプを2基ずつセット。さらにインジェクターはサード800ccで、燃料系の容量アップが図られている。また、中国ではガソリンのオクタン価が低く、点火時期を進められないため、2基のクーラーで燃料冷却も行っている。
ベージュの内装が、このマシンがランエボではないことを示す数少ないポイント。コクピットは、スタックメーターにデフィのブースト&排気温計を装着。オクヤマのペダルカバーやフットパネルなどはサーキット走行を考えてのチョイスだ。
リヤシートを取り払い、オクヤマ14点式ロールケージが組まれる他、スポット増し打ちなどでボディ補強も抜かりなく行われている。フロントシートはGTOオリジナルのセミバケットタイプだ。
一方の駆動系も、リヤサスメンバーまで含めてランエボ6のものを移植して4WD化。リヤデフにクスコ1.5ウェイLSDを組むことでAYC機能をキャンセルしている。
さらに、足回りはJCプロジェクト車高調に前後12kg/mmのスプリングをセット。ブレーキには、ランエボ6純正ブレンボキャリパーとプロジェクトμHC+が組まれ、動力性能に見合った制動力を手に入れている。
リオンセル=ランサーをベースに製作された“エボリューション”。GTOレーシングサービスは、中国を含めて海外に正規輸出されることの無かったモデルを生み出したのだ。
●取材協力:GTOレーシングサービス
【関連リンク】
GTOレーシングサービス
http://www.gto-rs.com/