「激レアなS15シルビア“オーテックスタイルA”をイジる！」細部までチューナーの拘りが詰まったNA改ターボ仕様

公開日 2024/01/30
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著者 weboption

ノーマル比150％アップのパワーを実現！

ディテールに宿るチューナーの情熱と拘り

「店を長く続ける言うのは、こういうことなんやな」と、柄にもなく(!?)感慨深げに話し始めたエスプリの前川代表。聞けば、古くからショップに足を運ぶお客さんの子供世代が、新たなお客さんとして来店するケースが増えているというのだ。

同じショップで二世代に渡りチューニングするというのはここ数年、いわゆる老舗ショップでよく耳にするようになった話だ。ファクトリーでリフトに上がっていたBNR32やJZA80と同じように、今回取材したS15シルビアもまさにそのパターンと言える。

オーナーは、まだ19歳。専用の内外装を持つレアなオーテックスタイルAを購入したものの、それはSR20DEを載せるスペックSベースのモデルだった。言うまでもなく、速さはたかが知れている。そこで、かつて父親がお世話になったエスプリにチューニングを依頼したわけだ。

提案されたのはボルトオンターボ仕様。それもトラブルなく長く乗れるように、パワーより耐久性を重視して組み上げられた。「エンジンブローとか、お金がかかるようなトラブルはあかん。とくに若いお客さんに対しては。だから、450ps欲しいと言われても380psにしときましょうと言うとるんよ」と前川代表。

SR20DEはシリンダーブロックはそのまま、まずピストンをDET用に交換。コンロッドも小端部が細く、トルクを上げると曲がってしまうDE用に代えてDET純正が組まれる。

ちなみに、価格は純正でも1本2万6000円と高価だ。さらに、ヘッドガスケットをメタル製1.6mm厚に交換し圧縮を調整しながら抜けを防止。圧縮比はターボエンジンとしては高めの9.8：1に設定され、過給が見込めないNA領域のトルク感やレスポンスなどのフィールを可能なかぎり損なわないようにセットアップされる。

そこに組み合わされるタービンはHKS GT-RS。鋳物のDET純正EXマニを使うのは、もちろん耐久性を考慮してのことだ。

また、燃料ポンプやインジェクターも当然、大容量化が図られている。エンジン制御はF-CON Vプロによって行なわれ、最大ブースト圧1.2キロ時に350～380psを発生する。SR20DEはカタログ値165ps、実測でおそらく140ps前後だろうから、ボルトオンターボ化によって2.5倍以上のパワーを実現しているわけだ。

スロットルボディは見た目こそ同じだが、DET用よりも吸気流量を稼げるDE純正をそのまま使用。バタフライバルブ径はDETの50φに対してDEでは60φとなる。

さらに、目を引かれたのがディテールの作り込み。オーナーのリクエストに応えてバンパーを加工することなく収められた前置きインタークーラーを始め、強度を高めるためにリブ加工が施されたABSユニットの遮熱板など、メイキングを手がけたチューナーの拘りとセンスを感じずにはいられない。

排気系はフロントパイプ80φ、センターパイプ以降は暫定的にNA仕様のままとなっていて60φ。ボルトオンターボ仕様としては排気抵抗が大きくパワーに影響するため、今後メインパイプ径80φでのワンオフ製作が予定されている。

車高調はモノチューブ式ダンパーで減衰力32段調整機能を持つブリッツZZ-RスペックC。バネレートはフロント10kg/mm、リヤ8kg/mm。また、ブレーキの容量アップも実施。フロントはGRヤリス純正4ポットモノブロックキャリパーにV37用355mmローター、リヤはECR33純正2ポットキャリパーが流用される。

内装色をブラックとタンの2トーンとするのがスタイルAの特徴。前席にはタン本革シートが標準装備となるが、取材車両は運転席がBNR32純正に交換されていた。追加メーターはオートゲージ製で、ステアリングコラム上に油圧計、Aピラーにブースト計、エアコン吹き出し口に油温計をセット。その下にはHKS EVCとヤシオファクトリー岡ちゃんウォーターテンプ3が装着される。