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全てに渡ってNOB谷口の拘りが詰め込まれた改作
S15シルビアに一生乗り続けるための決意と大手術!
幅広いステージで大活躍する、NOBことレーシングドライバーの谷口信輝選手。そんな男が『今まで出会ったクルマの中でこれ以上の素材はない』と言い切るのがシルビアだ。プライベートで歴代シルビアを乗り継ぎ、現在もS15を大切に所有しているほど。
今回紹介するのは、まさにそのS15だ。10年後でも安心して乗れる速くて飽きのこないスペックを求め、実力派チューニングショップ“Nステージ”にて約1年かけて完全リフレッシュ。そのクオリィティは完全に新車以上で、シルビア好きには垂涎モノの仕上がりを誇る。
作業はフレーム修正から始まった。サーキット等で酷使した車両は事故歴がなくても歪んでいるケースが多いため、ボディをフルストリップ状態までバラした上でフレームの微妙な歪みなどを矯正したのだ。
骨格の修正が終わると、今度は補強だ。ストリート仕様であるため無骨なロールケージは避けたい。しかし、ボディ剛性は走行フィールや性能に直結するため、各開口部のみならずエンジンルームやフロア周りまでスポット溶接増しを敢行した。
タイヤ&ホイールの大径化や幅広化に対応するため、フロントフェンダー内面はいわゆる“サイクルフェンダー”の手法で大きく作り直された。
リフレッシュ作業の中で、最も手間がかかったというのが、サスメンバーやアーム類の洗浄&再塗装作業。『下面までピカピカにしたい!』という谷口選手の拘りに沿ったものだ。エンジン周辺のステー等も再塗装仕上げとなる。
一方のエンジンは、オイル交換時にメタルの粉片を確認したためオーバーホールを実行。HKSの2.2Lキットに、GTII-8252タービンを組み合わせたトルクフルな450ps仕様へとアップデート。
同時にエンジン周辺は配線を隠したワイヤータック仕様とし、移動したヒューズボックスは助手席エアバックの位置に隠された。
また、傷が付きやすく走行ノイズの発生ポイントとなりやすいフェンダー内面や下回りはブラックアウト。その際に使用したのはピッチ塗装(アンダーコート)のため、ボディの腐食防止にも繋がっている。
サスペンションは、以前から装着されていたHKSのハイパーマックス。硬めすぎずスムーズな動きを目指してセットアップされている。アッパーマウントはキャンバー&キャスター調整式だ。
フロントのブレーキキャリパーはプロジェクトミュー製のものに交換。リヤブレーキはインナーシューサイドブレーキタイプのスカイライン用の対向キャリパーに変更している。ホイールは19インチのアドバンレーシングRG-Dで、タイヤにはアドバンネオバAD08(F225/35-19 R265/30-19)を組み合わせる。
エクステリアはT&Eヴェルテックスのエッジ(ワイドボディシステム)で統一。シンプルだが、非常にハイセンスなワイドフォルムだ。
ヘッドライト&テールレンズは社外品を使い、LED化して今時感を演出している。
室内もシンプルかつ上品なメイキング。フロントシートだけでなく、リヤシートやドアトリムなどまでブリッドのファブリックで張り替えた、いわゆるフルブリッド仕様。ステアリングは谷口選手が昔から愛用しているナルディクラシックの340φ。
「結果的に大作業になっちゃったけど、俺にとってシルビアは特別な存在。一生持ちたいっていう愛車の作業、このシルビアのリフレッシュ計画に妥協はしたくなかった」とは谷口選手。
続けて「もちろん、現行車でも良いクルマはたくさんあるよ。でも、技術が進みすぎて安全装備の基準が高まり続けている昨今、シルビアほど走りを楽しめる素性を持ったベースは残念ながら存在しない。そして、この先も現れないだろうからね」とのこと。
愛車を嬉しそうに自慢し続ける谷口選手。その姿はレーシングドライバーなどではなく、ひとりのスポーツカー好きの少年そのものだった。
●取材協力:Nステージ 神奈川県横浜市港北区新吉田町526 TEL:045−548-8776
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