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湾岸席巻を命題に誕生した紅き超高速巡行機
この真紅のFD3Sは、RE雨宮がGReddy(グレッディ)シリーズの集大成モデルとして2006年に発表した『RE雨宮スーパーグレッディ7-20B』だ。目指したのは湾岸300キロ巡航。対GT-R用として生み出された、3ローターターボ搭載のモンスタースペックに迫っていく。(OPTION誌2006年6月号より)
5速7000rpmで大台突破を狙う!
300キロ巡行でも音を上げない高い耐久性能、そして直6フルチューンにも引けを取らない圧倒的なトルク特性。スーパーグレッディには、そんな2つの過酷な命題が開発当初から掲げられていた。
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「13Bをベースにした2ローターチューンでもパワーは狙える。もちろん300キロも出せるよ。でも、そこまでの加速とか、超高速域でのクルージングを考えると厳しい。当然、GT−Rには勝てないしさ。やっぱ、最高速には3ローターが必要なんだよ」。谷田部時代からチューンドロータリーでの最高速アタックに挑み続けてきた雨さんが、スーパーグレッディの心臓部に3ローターの20Bを与えたのは、そんな理由からだ。
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13Bと比べて、前方に60mm、後方に100mmという位置関係でマウントされた20B本体には、オリジナルのサイドポート拡大加工が施されている。その加工法はまさに『独特』と言い切って良いだろう。
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鋳肌を徹底的に落とした上、プライマリーポートは段付き修正に留め、セカンダリーポートのオープン側を拡大してオーバーラップを増やしていく。一方のエキゾーストポートは、ポートタイミングの変更はさほど行わず、リフト量を増やすために横方向へと広げているのだ。細かな数値は出せないが、これこそ低速を犠牲にせずトルクを確保できる雨宮流ポートチューニングの神髄というわけだ。
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組み合わせるタービンは、大風量のT88−34D(22cm2)ビッグシングル。モーテックによるきめ細かな制御により、3500rpmからパワーが盛り上がる650psを実現している。一発を狙うならば、ハイブーストを掛けて700psも可能というポテンシャルの高さを秘めているが、ストリートでの扱いやすさを考慮した結果、この出力に落ち着いた。
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クーリングパートのチューニングにも余念なし。コアを増設したトラスト3層式インタークーラーと大型のクロスフローラジエターはVマウントでレイアウトされ、その左右にはスーパーGT時代に使用していたレース用オイルクーラーを完備している。
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足回りは、超高速域でも安心して踏めてスラロームできる味付けが施されたクァンタムRSベースの雨宮スペックダンパー(F16kg/mm R14kg/mm)でセットアップ。アームはトーコントンロールリンク以外は全て純正だ。ブレーキには安定したストッピングパワーを求め、トラスト製の6ポットシステムが与えられている。
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ホイールはエンケイのRPF1でサイズは18インチ(F9.5J R10.5J)で、タイヤにはヨコハマがハイスピード走行を前提に開発した(Y)レンジのアドバンスポーツ(F245/40-18 R265/35-18)を履く。
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室内も美しい仕上がりだ。パネル類はレッドカーボン調のイージーグラフィックスでイメージチェンジし、その他の内装パーツも全てレッドに特殊塗装。ストリート仕様への拘りから、エアコンはもちろんナビゲーションやオーディオまでインストールされ、快適装備は満載。ロールケージは装着されていない。
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エクステリアを覆うパーツは、全てRE雨宮のオリジナル。ポルシェ997ヘッドライトを軸に構築されるそれは、驚くほどスマートなシルエットを見せ、やっていることの凄まじさを一切感じさせない。この辺りのサジ加減と細部フィニッシュの妙こそ、RE雨宮のADエアロブランドが世界中から愛される理由かもしれない。
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「3.7ファイナルだから5速7000rpmも回れば300キロを楽に突破できるよ。早く全開にしたいね!」。エンジンラッピング中のマシンを前に意気込む雨さん。
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あと1ヵ月もすれば、湾岸でGT−Rを抑えながら先頭を突っ走るチューンドロータリーの目撃例を、アチコチで聞くことになりそうだ。(OPTION誌2006年6月号より)
●取材協力:RE雨宮 千葉県富里市七栄439-10 TEL:0476-90-0007
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