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オーナーの愛情とチューナーの技術力が作り出した傑作
フジタエンジニアリングの技が詰め込まれた真紅のFD3S
西のロータリーチューナーとしてその名を轟かす“フジタエンジニアリング”。そして、代表の藤田さんが志すチューニング道は、今も昔も純血ストリート仕様で変わりはない。その方針は、一撃を狙うレーシングカー的なものではなく、ユーザーが愛車を自分仕様にアップデートさせていく過程をサポートするというものだ。
1992年式の1型であるこのFD3Sは、新車購入から現在に至るまで、一貫してフジタエンジニアリングがメンテナンス&チューニングを担当してきた長寿のユーザー車両だ。昨年、ボディを中心に大規模なリフレッシュを行なったばかりということもあり、さながら新車のような輝きを放つ。
エンジンは、フジタエンジニアリング謹製のスペック5サイドポート仕様。圧縮比8.5のバランスドローターにはDLC加工を施した上で独自の3分割アペックスシールを組み、1.2キロの高過給を受け止める。
組み合わせるタービンは、ギャレットのG35-1050。排圧の高いロータリーとの相性は抜群に良く、レスポンス面はもちろん、低速から太いターボトルクが立ち上がるそうだ。制御は定番のパワーFCが担う。
エキゾースト環境は上流からFEEDステンレスEXマニ→SONICフロントパイプ→チタンエキゾーストというレイアウトだ。
一方の足回りは、オリジナルのFEED PRO F-09魔王スペック(車高調)を軸に構築。スプリングレートは前後18kg/mmで、アーム類はサスペンションに入力される負荷に対して、リニアに足を動かすことを目的にフルピロ化している。
フロントブレーキは、往年のトラスト(GREX)アルコンを愛用。これも長年チューニングを行ってきた証のパーツと言えるだろう。リヤはノーマルキャリパー+ビッグローターでバランスを取っている。
ホイールはアドバンレーシングのRS-DFプログレッシブ(FR12J)で、タイヤにはアドバンA052(295/30-18)を組み合わせる。
フロントバンパー、サイドステップ、前後フェンダー、GTウイングに至るまで、外装パーツは全てフジタエンジニアリング製で統一。なお、このエアロシステムは同社がWTAC仕様として世に送り出したタイムアタッカー向けの作品だ。
シンプルながら超スパルタンに仕上げられたコクピット。軽量化のために内装パーツや快適装備などは全て撤去、ドアパネルもFRP製に変更されている。車重は1100kgというからハンパではない。
剛性アップへの取り組みも凄まじく、シャーシの各部にスポット溶接増しを施した上で、レーシングカー並みのクロスバー付きロールケージをインストール。ノーマルとは別次元の剛強ボディを創出している。
新車購入から約30年、数え切れぬほどの仕様変更を行いながら進化させてきた真紅のFD3S。一途なオーナーの深い愛情はもちろん、バランス重視で仕上げたことがよく伝わってくるスペックだ。
●取材協力:フジタエンジニアリング 大阪府堺市東区八下町1丁82-1 TEL:072-258-1313
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