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世界に名を轟かせたライトウエイトオープンをアップデート!
心臓部はNAのSR20エンジンを換装
国産初の本格スポーツモデルとして誕生した2代目ダットサン・フェアレディ。ベースモデルのSP310型は1962年にデビューし、翌1963年の第一回日本グランプリでクラス優勝を果たすほどのポテンシャルを持っていた。
そして派生モデルのSR311は、世界のライトウエイトスポーツをリードする高性能モデル。トライアンフやオースティン、MGなどを凌駕する性能にコストパフォーマンスの良さが重なり、北米市場で高い評価を得たのだ。
北米でのヒットを受け、アフターマーケットも活性化。現在でもカスタムパーツやヘリテージアイテムが数多く存在するため、同年式のオールドカーの中では比較的維持しやすい車両と言われている。
そして、バブル期の旧車ブームの際に多くのダットサン・フェアレディが日本に逆輸入され、日本国内での現存車両は左ハンドル仕様のほうが多いという特殊性もこのモデル特有の現象かもしれない。ちなみに、今回紹介する車両もそうだが、形式のSRの後ろに付く“L”は輸出モデルなどの左ハンドルを表している。
このSRL311は、新規で逆輸入された車両で国内未登録、ボディをフルレストアした上でS13シルビア用のSR20DEエンジンを換装したリアルチューンドだ。製作したのは、旧車メインのユードズカー専門店“フレックスオートレビュー横浜”である。
シャシーやフレームはもちろん、オープンカーにとって重要な幌、そしてシート類に至る全てのパートは徹底リフレッシュ。もはや新車ではないかと疑うレベルの美しさだ。
続いて動力性能部。当時、世界レベルと言われたSRL311のパワーウエイトレシオは、カタログスペックで約6.3kg/ps。現行車と比べても遜色のない数値だが、当時のカタログ値はグロス表記であるため、実質的な数値は7kg/ps前後と考えられる。
一方、165psのSR20DEエンジンを搭載したこのチューンドのパワーウエイトレシオは約5.5kg/psと、ノーマルを遥かに上回る。また、換装によりインジェクション化されたことでの万能性、快適性の大幅な向上も見逃せない。エンジンハーネスごと移植され、ECU制御のインジェクション仕様となったフェアレディは、気難しさなど皆無の“貴婦人”に性格まで改善されているわけだ。ミッションはエンジン同様にSR20DE用を使用する。
細かい改造ポイントを挙げていくとキリがないが、ラジエターはスペースにピタリと収まり冷却効率が高いホンダ車用を流用していたり、S13純正EXマニは遮熱板にメッキ処理を施してエンジンルームのビジュアルを高めるなど、徹底的に性能と美観を追求しているのだ。
さらに、ノーマルでは心もとないブレーキもFC3S用のキャリパーを移植したことで解決。あえてFC3S用を選んだのは、バネ下重量を不必要に重くしないためでもあるという。
インテリアはほぼオリジナルの状態を保っているが、タコメーター、ガソリン残量計、警告灯類などのメーターはエンジンスワップに合わせて変更済みだ。
芯の通ったレストモッドにより大幅にアップデートされたクラシックスポーツ。過激さはないが、長く旧車を楽しむためのチューンドとしては非常に完成度の高い1台だ。
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