「ダイハツYRVの200馬力ハイフローターボ仕様はマニアすぎ!」 パワーウエイトレシオはNSXに匹敵!?

マイナー車だけどポテンシャルは高いんです!

ハイフロータービンを軸にしたパワーチューン

スターレットターボの生産終了後、競技ベース車両…つまりはストーリアX4を除き、20世紀~21世紀をまたいで、コンパクトクラスで唯一のターボモデルとして存在していたYRVターボ。

背高系ボディから、動力性能に多少の余裕を持たせた実用系コンパクトワゴンに思えるかもしれないが、実はノーマルでも140ps/18㎏mを誇り、パワーウエイトレシオは7kg/psをマークする隠れた逸材なのだ。

そんな迷(?)車を痛快ストリートチューンドへと仕上げてきたのが、大阪の老舗“トライアル”。「多少荷物を積んでもパワフルに走りたい」というオーナーの要望へ応えるため、ワンオフハイフロータービンによるポテンシャルアップを軸に、快適性を崩さず走りの魅力を引き上げるメニューを施したのだ。

「内容だけで考えると一般的なストリートチューンで定番メニューなのですけど、マイナー車だけに適合パーツがなくて苦労しましたね。最終的には、ワンオフ&兄弟車であるストーリX4用パーツの流用で仕上げていきました」とはトライアルの担当メカ。

熱量が増えるパワーアップには欠かせないクーリングチューンに関しては、ラジエターもYRV用はラインナップがない。そこでワンオフ製作のアルミラジエターを投入し、行き場を失った水冷式ATFクーラーは空冷化した。

また、元々スポーツ走行を前提にしていない車種のため、バンパー開口部の少なさなどクーリングパーツの装着場所が厳しい傾向にある。そのため、オイルクーラーはインナーフェンダーに加工を施すことで冷却効率を引き上げている。

そうした数多くの苦労を経て仕上げられたマシンは、最大ブースト圧1.2キロ時に200ps/27.4kgmをマーク。カーナビなど快適装備がフル搭載されているために単純計算できないが、ノーマル車重で考えるとパワーウエイトレシオは4.95kg/ps! イメージしやすいように例を挙げると、この数字はパワーウエイトレシオに拘って製作されたNSX(4.96kg/ps)にも匹敵するのだ。

ちなみに、適合パーツがないという部分はエクステリアパーツも同様なのだが、その辺りはオーナーのDIY魂でカバー。エアロに関しては、リップスポイラーやサイドステップといったボトム部をカーボンシートでコーディネイト。前置きインタークーラーで不要となったインテーク付きボンネットはNAモデルへと変更することで、オリジナリティを出してきた。

また、フットブレーキを多用するAT、そして快適装備満載のストリート仕様であることを考慮し、フロントブレーキキャリパーにはウィルウッド製4ポットをチョイス。システム的にコンパクトなので、16インチホイールでもマッチングは可能なのだ。

足回りのチューニングも苦労したポイント。ダウンサスはラインナップされているが、車高調となると設定は皆無。幸い兄弟車であるストーリアX4はラリーなどで需要があったため、Dスポーツのストーリア用車高調をベースにバネレートのみYRVに合わせてリセッティングしている。

落ち着いたルックスとしつつも、ひとたびアクセルを踏み込めば胸のすく加速力を見せつけてくれる極上のパフォーマンス。まさに“羊の皮を被った狼”だ。

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●取材協力:トライアル TEL:072-369-3539

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