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運動性能と耐久性を突き詰めて2.2L仕様の3S-GTEを換装
当時(90年代)の全日本GT選手権(JGTC)で活躍していたスープラからインスパイアを受けて開発した超ワイドボディキットを装備し、心臓部もGTマシン同様の3S-GTEへとスイッチ。公道を走れるレースカーという立ち位置でスモーキー永田が作り上げたのが、このトップシークレットGT-300スープラだ。(OPTION誌2002年2月号より抜粋)
アクセルを踏み込んだ瞬間、視界が一気に狭まる怒涛の加速を見せる!
異様なまでの迫力だ。トップシークレットのコーポレイトカラーであるロレックスゴールドと、JGTCマシンを彷彿とさせる超ワイドボディのタッグは強烈の一言。それが公道を堂々と走っているのだからハンパではない。
「JGTCスープラをストリート仕様で表現したくて。ワイドボディはレースマシンを参考にしつつ、フェンダーアーチが市販のタイヤサイズと合うようにかなり考えて作ったよ」とは、製作指揮を取ったスモーキー永田。
エクステリアは、トップシークレットのG-FORCE GT300ワイドボディキットでフル武装。寸法はJGTCで活躍したGT500スープラとほぼ同一となっている。キット構成はフロントバンパー、フロントフェンダー、サイドステップ、リヤフェンダー、リヤバンパーの5点。さらにエアロボンネットやGTウイングもオリジナル品を装備している。
リヤのハイマウントGTウイングは「GT選手権で主流のスタイルをストリートへ」というテーマで開発された逸品。固定は純正リヤウイングの穴を使用するタイプとなる。
注目のエンジンはオリジナルの2JZ-GTEを捨て、フロントミッドに3S-GTEを搭載。まさにJGTCマシンそのままのモディファイだ。2JZよりも80kgも軽量な3Sにフェニックスパワーの2.2Lキット、HKSのハイカム(272度)、トラストT78-29Dタービンなどを組み合わせて最大ブースト圧1.2キロ時に600psを叩き出す。
エンジンルームの前方に空いた2気筒分のスペースには、ラジエターとインタークーラーをL字でマウント。最高速マシンとしてのポテンシャルを考えると2JZの方が優れているが、7000rpmで回し続けると一気に水温が厳しくなる2JZよりも、コンパクトな3Sでクーリング効率を高めていった方が、ローリスクで最高速アタックに望めるのだ。
3S-GTEの換装にあたっては、フロントサスメンバーを加工した上でオイルパンも新規で製作。ミッションは、ワンオフアダプターを介して2JZ用のゲトラグ6速を3Sエンジンとドッキングしている。クラッチはOS技研のトリプルプレートを加工装着。
フロントサスペンションはオーリンズ車高調+MERWEWスプリング&アイバッハのテンダースプリングという組み合わせ。アーム類はフルピロ化されている。ショックのマウントはトップシークレットのオリジナル品だ。
リヤサスはオーリンズ車高調+アイバッハスプリング&アイバッハテンダースプリングという構成。前後共にテンダースプリングを入れているのは、高速域での接地性向上を狙ってのことだ。フロント同様にブッシュは全てピロに打ち替えられている。
大幅なワイド化に伴い、ロアアームにはサスペンションのレバー比を変更するためのオフセットマウントを設置。これによりダンパーの取り付け位置をズラしているというわけだ。
ブレーキはキャリパー&ローターともにアルコン製を装備。ボディカラー同様のゴールドでホイールの隙間から存在感を主張する。ホイールには2ピースの深リム、ボルクレーシングGT-Nを合わせる。
コクピットにはスタック製のマルチメーター、助手席前にはトラストグレッディの60φメーターを装備。ステアリングはオーダーメイドのトップシークレットスペシャル、シートはレカロのトムキャットだ。ゴールドに塗装されたサイドバー付きロールケージが本気仕様を物語る。
レーシングカーにインスパイアを受け、そこにスモーキー永田らしいストリートエッセンスを注ぎ込んだ超大作。見れば見るほど「チューンドの迫力とはこういうものだ」と妙に納得させられるが、この迫力は4気筒エンジンで300km/hをゆうに超えるそのポテンシャルに裏打ちされた、リアルチューンド特有のものなのだ。
●取材協力:トップシークレット 千葉県千葉市花見川区三角町759-1 TEL:043-216-8808
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