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超ビッグシングルタービンを高回転で炸裂させる!
1000馬力を受け止める全方位チューンド
今やR34GT-Rというだけでもかなりの価値だが、ミレニアムジェイドカラーのこのマシンはその中でも貴重なVスペックIIニュル。R34、すなわち第二世代GT-Rの生産終了を記念したわずか1000台(Mスペックと合わせて)の限定モデルだ。
ベースはオーナーが7年ほど前に走行距離1万キロ台で手に入れた極上車で、“ピットロードM”により高速ツアラーとしてのパフォーマンスを注入。2020年10月に完成したばかりの最新仕様では、パワー系にさらなるチューニングが施されている。
名機RB26DETTエンジンは腰下をHKSのステップIIキットで2.8Lに排気量アップし、ナプレックのドラッグヘッドとドッキング。カムは東名パワードのIN/EXとも290度。「下はいらない」というオーナーの意向で、定番のVカムシステムはあえて導入していない。エンジン制御はHKSのF-CON Vプロが担う。
そして何と言っても注目なのが、ボンネットを開けた瞬間に目に飛び込んでくる巨大なギャレットG42-1450タービン。その名の通り最大出力1450psが狙えるGシリーズ最大サイズを誇るものだが、最新設計によるハイレスポンス性能により、それまでのHKS-T62R以上のパワーと乗りやすさを実現。
最大ブーストは1.9キロの設定で、最高出力1000ps、最大トルク100kgmを獲得している。
排気系はエキゾーストマニフォールドがIRレーシングの45φワンオフSPL。フロントパイプは90φ、マフラーはピットロードMによる100φチタンスペシャルという構成だ。
ドライブトレインはミッションがOS技研のシーケンシャルドグ。クラッチはATSのカーボントリプル、フロントデフをATSのカーボンLSDに変更している。
フロントバンパー内にはトラストのオイルクーラーをセット。ニスモバンパーの開口部に合わせて取り付けるため、冷却効率を確保しながらもノーマル然としたスタイリングには影響なし。
足回りもエンジンに負けないスペシャルな内容になっている。車高調は緑整備センターのナイトロントリプルチューブタイプダンパーで、アーム類はイケヤフォーミュラのピロボールタイプに変更。前後のスタビライザーはarcの強化タイプとしている。
ブレーキはフロントがAPレーシングモノブロック6ポットキャリパーに382mmローター、リヤが同4ポットキャリパーに356mmローターという組み合わせだ。
ホイールはボルクレーシングTE37SL(10.5J+15)。タイヤは外径を計算し、265/40-18サイズのアドバンA052を前後に履く。
もちろんスタイリングだけでなく街乗りでも不自由のないように、オーディオやエアコン、さらに内装などは全て残されている。メーター周辺に追加されているのはシフトインジケーターとトラストシリウスメーター(ブースト)、A/F計。センターコンソールにはブースト制御用のEVC7が収まる。
ドライバーズシートはレカロRMSのカーボンシェルタイプに変更。よりフィット感を高めるためにオプションのパッドに変更している。
このスーパーチューンドを高速周回路に持ち込んで最高速アタックを敢行したところ、アッサリと200マイルを超える320.34km/hという記録をマークした。
「1000psといっても普通に乗れる安定感は完璧だね。とくに足はまだまだ余裕があるから、もっとパワーがあっても踏めると思う。ストリート仕様でこの仕上がりなら文句のつけようがないな。良いクルマだった!」とはアタックを務めた稲田大二郎。
過去に様々な仕様の第二世代GT-Rが同レベルの速度を記録しているが、ストリート仕様のユーザーチューンドでこの数値は感動的ですらある。まさにチューニングの熟成を感じさせるトピックであり、RB26DETTの底力には驚異を覚えるほどだ。
●取材協力:ピットロードM 兵庫県姫路市安富町安志912 TEL:0790-66-3359
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ピットロードM
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