目次
TD04タービン搭載でオーバー200馬力を達成!
排気量ダウン=ボア縮小でマージンを確保!?
軽快なハンドリングに対し、スポーツグレードのスポルトでもパワー不足が否めないDE5FS型デミオ。そんなウイークポイントを克服するべく、兵庫県のチューニングショップ“ハーフウェイ”では以前からNAハイチューンの可能性を探ってきた。
ところが、ボアアップするにはライナーの厚みが薄く「ライナーを打ち替えて排気量を拡大しても、コストに見合うだけのパワーが得られる可能性は低い」と判断。ハイカム+圧縮アップで加速フィールにパンチと軽快感を与えるという手もあるが、高回転でのパワーや伸びを求めるほど、低回転域が犠牲になってしまう。
そこで「MAXパワーも低速トルクも欲しい」というユーザーの欲求に応えるべく、ハーフウェイが選んだのは“1.3L換装+ターボ化”だった。デミオスポルトに搭載されるZY-VEは1.5LのNAだから、いくらターボ化するとはいえ、チューニングのセオリーを無視したまさかの“小排気量化”が実施されたのである。
わざわざ排気量を縮小する理由は、十分な強度と耐久性を得てハイブースト&ハイパワーに対応させるために他ならない。実は、デミオの1.3Lモデルに採用されているZJ-VEと1.5LのZY-VEはボア径が異なるだけで、ストローク量は変わらない。
つまり、ZJ-VEはボア径が小さい分だけライナーが厚く、シリンダー剛性が高いと言える。それなら多少排気量を削ってでもハイブーストに耐えられるだけの高剛性を与えた方が、結果的にハイパワーに繋がるという考えだ。
なお、ヘッドはバルブ径やポート径、インマニ内径などが大きい1.5Lモデルのものを流用。1.3Lモデル純正ピストンとの組み合わせによって、8.5前後までコンプレッションを落とすことが可能だ。また、7000rpm以上でサージングが発生するのでバルブは強化品に変更し、バルブスプリングも他車種純正流用で強化している。
一方、タービンはシャフトやミッションへの負担が少ないサイズとしてTD04をチョイス。エンジンとタービンを繋ぐEXマニは、もちろんワンオフだ。
重要なエンジンマネージメント(燃調、点火時期、バルタイ、スロットル)は、基本的には純正ECUの書き換えでセットアップを進めている。しかし、純正ECUではターボ領域に対応できないため、eマネージアルティメイトを追加して正圧領域を制御している。
クーリングチューンも徹底。オイルクーラーを追加し、DC5用として製作した大型のラジエターもインストール。セントラルサーキットで開催された3時間耐久に出走してテストも行ったが、水温/油温ともに終始安定していた。
ターボ化にあたって必要となるインタークーラーは上置きをセレクト。パイピングはワンオフで製作されるが、コアは三菱デリカ純正を流用している。
こうして、1.0キロのブーストで206psという強烈なパワーを発生させるホットハッチが完成したわけだが、せっかくなので1.3Lターボ仕様と1.5Lファインチューン(吸排気+ECU)仕様を比較したパワーチェックグラフを見ていただきたい。グラフは最大ブースト0.9キロ時のデータだ。
全体的にもっさりとした印象のあったNAに対して出力特性が大きく変化し、低回転からたっぷりのパワーとトルクが引き出されているのが分かるだろう。チューナーの想像力と技術力が生み出したデミオターボ、恐るべしである。
●取材協力:ハーフウェイ TEL:078-998-2223
記事が選択されていません【関連リンク】
ハーフウェイ
http://www.halfway.co.jp