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ゼロヨン10秒台前半のポテンシャルを秘めた怪力クルー
600馬力のSR20改2.2Lフルチューンエンジンを搭載!
日産のクルーと言えば、主にタクシーや教習車として使われていた、いわゆる商用車の代表格。チューニングベースとはほど遠い存在のように感じられるが、じつはRB20系のエンジン(シングルカムモデル)を搭載しているだけに流用パーツも豊富で、ドリフトベースとして密かな人気モデルだったりする。
そんなクルーをベースに、過激なドラッグ仕様に仕上げたのは秋田県の“ツーシステム”。C33ベースの加工エアロと、膨らみを持たせたリヤブリスターフェンダーが只者ならぬ雰囲気を醸しているが、この車両は元々4枚セダンを乗りたいと思っていた元オーナー(その後ツーシステムのデモカーになった)が愛車のシルビアでクラッシュしたのを機に、クルーを格安で入手してハコ替えしたものだという。
その際にエンジンはSR20DETに載せ換えられ、腰下は2.2Lまでスケールアップ。ヘッドには288度のハイカムを組んだ上、大容量サージタンクやQ45用スロットルでシッカリと吸気できる環境作りを整える。燃料デリバリーはサード製でインジェクターは1000cc×4本だ。
パワーの源であるタービンは、トラストが誇るビッグシングルのT88-34Dを選択。F-CON Vプロによる制御で、最大ブースト1.7キロ時に626ps/62.9kgmを絞り出している。
また、そのあり余るパワーを受け止めるべく、足回りのチューニングは徹底。まずフロントは、メンバーごとS14用フロントサスペンションを移植してストローク量を稼ぐ。車高調はアペックスのS14用N1ダンパー改ドラッグバージョンで、スプリングレートはフロント8kg/mm、リヤ4kg/mmだ。
リヤはホーシング式である純正サスペンションをS15用のマルチリンクに変更。アッパーマウント周辺を新設するなど切った貼ったの大手術を行なって、メンバーごとのフル移植を実現している。
ドラッグレース時はこの足回りにフュージャーのラジアルを組み合わせて勝負に出る。ニットーに比べて扱いやすさの幅があるため、タイムを狙いやすいそうだ。
一方の室内は、安全性を考慮しロールバーが組み込まれているが、リヤシートや助手席は純正のまま。運転席側に見えるレバーは、リヤドアを開けるためのオープナー。この車両がタクシーであった証拠だ。サイドブレーキに設けられているのはプロスタートだ。
スタックメーターがビルトインされたインパネ周り。中央にはタコメーターが設置されるなど、ドラッグレースを意識した配置だ。
トランクルームにはコレクタータンクを設け、安定した燃料供給を実現。燃料ポンプはニスモGT-R用を3基使用する。
その他、HKSドグミッションの搭載や、R200デフの流用など、まさに全方位スキなしの仕上がり。完成後に出場したナイトドラッグではシフトミスが災いし11秒2という結果に終わったが、ミスなく走りきれば10秒前半〜中盤は狙えそうとのことだった。
“ハイヤー”のような外観を見て侮ると大ヤケドすること間違いなしの怪力クルー。まさに「羊の皮を被った狼」。チューニングの奥深さと楽しさを体現した1台だ。
●取材協力:ツーシステム 秋田県大仙市大曲字以与谷地93 TEL:0187-66-1696
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