「ハコスカ+シルビア=ハコビア!?」旧車の概念を打ち壊すラジコン感覚の魔改造スペックに迫る!

中身はシルビアなのにボディはハコスカ!

東京オートサロンで注目を集めた“ハコビア”の全貌

旧車人気が高まる中、ベース車探しが困難なほどの品薄状態が続くハコスカ。1968年にデビューし、レースシーンで数々の金字塔を打ち立てた伝説の名車だ。

そんなモデルに魅了されたのが、元D1GPドライバーのH.D.O板倉代表。「一台でも多くのボディを甦らせ、そして一人でも多くのユーザーにハコスカを楽しんでもらいたい」という強い想いから旧車専門パーツブランドとなるオールドスターを立ち上げ、あらゆる方向からハコスカの再生&進化に尽力しているのだ。

「元々はハコスカで一番速く走りたいと考えて、軽量化と剛性アップが果たせるドライカーボンパーツを自分用に作ったんですね。そんな中で閃いたのが、経年劣化でダメージを受けたボディもカーボンパーツに置き換えれば、鍛えて復活させられるなってアイディア。そこで純正ベースで測定・製作したカーボンのボディパーツをどんどん揃えていき、今ではピラーやクォーターパネル、トランクフロアまでカバーしていますよ」と板倉さんは語る。

こうしてボディの劣化懸念が払拭されれば、次に湧き上がるのは走行面のブラッシュアップだ。

以前から本場アメリカのレストモッドにアンテナを張り巡らせていた板倉代表は、ドリフトに最適なシルビアの動きを目指し、S15シルビアのフレームごと土台に使った“上下ニコイチ”車両を製作してしまったのである。

簡単に言えば、下半分がS15シルビアで上半分がハコスカ。つまり、エンジンやミッションを含むパワートレインや前後サスペンションは、シルビアを寸法も変えずにそのまま使っているというわけ。もはやラジコンのノリである。

リフトアップすると、フロアパネルやフレームなどは当然ながらS15シルビアのそれだ。分かりやすくこのニコイチの仕組みを説明すると、左右はサイドシル、フロントはバルクヘッド、リヤはトランクで2台をカットしていき、ボディをゴッソリと被せて接合するボディワークとなる。

バルクヘッド部分でハコスカのボディを接合しているため、SR20DEだけでなくエンジンルーム周辺はS15シルビアだ。ただし、ヘッドライト装着の関係でラジエターサポートはハコスカ用を使っている。ダッシュボードを含めたインテリアもあえてS15シルビアのままとし、ニコイチ仕様をアピール。車幅の違いはダッシュボード左右の短縮処理でカバーしている。

ボディのドッキングに合わせて、約30mmの“プチ”チャネリング(フロア部分とボディを一旦切り離して、ボディ自体を下方向にずらしてフロアと再接合するカスタム方法)を敢行しているため、車高調でも驚異的な低さを打ち出せている。

オーバーフェンダーは20インチ対応のH.D.Oオリジナル、深リムのホイールは326パワーが展開するヤバKINGの最狂FIVE-1だ。

こうしたラジコン的ボディワークを知ると、「ハコスカにシルビアの機関を移植した方が早いのでは…」と思ってしまうが、ボディ剛性が頼りないハコスカをベースにしたところでスワップしたエンジンのパフォーマンスを発揮させることは困難な上、想像以上に作業の手間やコストが掛かる。

その点、ボディとフレームをドッキングするニコイチなら、車両2台を用意する必要はあるものの、作業としては手っ取り早くて性能面での完成度も高くなるのである。

なお、ハコビア製作時に板倉代表が掲げたコンセプトは“快適に楽しめる旧車”というものだ。そのため、ベースのシルビアはNAの4速AT車を選択し、エアコンはもちろんバックカメラやナビまで完備。オリジナルのような官能的フィールやサウンドこそ味わえないが、旧車特有の気難しさを一切気にすることなく、気軽かつ快適にストリートを走らせることができる。

こうして見た目のカスタムだけでなく、全てにおいて新旧融合のハコスカを生み出してきたH.D.Oだが、驚きのレストモッドはこれだけで終わらない。現在は構想段階だが、多彩に揃えたカーボンのハコスカ用ボディパーツを活かして、パイプフレーム&FRPフロアのフルボディ製作も計画しているのだ。

現在、オールドスターブランドからプロデュースするハコスカ用のドライカーボンパーツは、フェンダーやドアパネルなどの外装だけでなく、クォーターパネルやピラー、ルーフなど多岐に渡る。H.D.Oのファクトリー内には「箱須賀部屋」とネーミングされたショールームも用意されているので、ハコスカ好きはぜひ訪れてみてほしい。

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●取材協力:H.D.O 広島県福山市引野町273-1 TEL:084-945-0856

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