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“魅せる”に拘った極上のストリートスペック
内外装から機関部まで徹底リメイク!
今、アメリカのJDMシーンでは、240SXのカスタムが大流行している。ベース車価格がこなれていること。ファストバックのFRマシンというビジュアルと走りの優れたポテンシャル。そして、パーツラインナップを始めとする改造指数の圧倒的な高さ…など、その理由は枚挙に暇がない。
そして、TRA京都がリリースするエアロシリーズ『ロケットバニー』の存在が起爆剤となった。改造車文化の伝統とでも言うべきワークスフェンダーは国内でもブームが再燃しているが、アメリカで起こっているムーブメントはその比ではないのだ。
ここで紹介する180SXを手がけたのは、オーディオインストールを核にカスタムメイド全般を得意とする大阪の“プロジェクトSJ”。デモカーとして、そして代表である坂地さんのプライベートカーとして、“USストリート”を意識したメイキングが施された。
なんと、ベース車両の購入金額は10万円。その程度は価格から想像できるもので、内装パネルやカーペット等は一切残っていなかった。いわゆる“ドリ車”として酷使されてきた個体で、内外装から機関部まで徹底したリメイクを敢行したのである。
前後にビス留めオーバーフェンダーを纏うエアロキットは、ロケットバニーの6666 Ver.2。ホイールは18インチでフロントが10.5J、リヤ11.5Jのワーク『XSA04C』だ。オフセットは順にマイナス16、マイナス29を選び、ワイドフォルムとディープリムが圧巻のメリハリを生み出している。
オールペンされたボディは当初、純粋なオレンジを想定していたが、山吹色に近いイエローに仕上げられたことが、結果的に個性を際立たせることとなった。なお、ブラックアウトされたインタークーラーには、NXを吹き付けて吸気温度を一気に冷却するスプレーリングを装備する。
SR20DETは、腰下に純正オーバーサイズピストンを組み、ヘッドには東名パワードのポンカムを投入。ポート研磨等の加工、ガスケットやVベルト、各種ホースを一新してオーバーホールされた。組み合わされるタービンはHKSのGT-RSで、制御にはパワーFCを使用。ブースト圧1.2キロ時に350psを発生させる。
そして、内装。オーディオのカスタムインストールは、プロジェクトSJが最も得意とするところ。実用性をオミットしないようにレイアウトされ、システムはDVDヘッドユニットを核に、4chアンプとモノラルアンプでフロント2WAY+サブウーファーを駆動させる。NXのタンクは、インタークーラーへ噴射するスプレーリング用だ。
内装をもちろんフル装備だ。パネルやカーペットなどの入手は困難だったそうだが、ドンガラ状態から見事に復元した。さらにダッシュボードへのアルカンターラ張りを始めとする各種パネルの張り替えで、上質な室内空間を構築している。
センタークラスターは9インチモニターのインストールに伴いフル加工。エアコン操作パネルはオーバーヘッドに移設される。なお、メインメーターはスタックのオールインワンタイプに換装。アメリカのストリートでは各種メーターを装備しているマシンは少なく、日本の走り屋文化を意識した部分である。
仕様だけを見れば、決して過激なものではない。だが、全身に隈無く手が入れられた、そのパーツセレクトのセンスやバランス感覚に魅了されてしまう。もはやアメリカにもいないであろう、最高のストリートスペックがここに完成した。
PHOTO:南井浩孝
●取材協力:プロジェクトSJ TEL:072-849-1212