目次
エクステリアは往年のWRカーをオマージュ!
1.2トンの軽量ボディに555馬力の2.3Lユニットを搭載
この真紅のGC8インプレッサは、日本一熱いタイムアタックイベント『Attack筑波2021』で、57秒963のベストタイムを記録しているチューンドだ。GTウイングすら未装着のストリート然としたスタイルで、スーパータイムを刻んできているのだから恐れ入る。
オーナーがGC8を購入したのは1996年のこと。当時、BCNR33に憧れてディーラーに見積もりを取りに行くも、予算の都合がつかず断念。その帰り道、たまたま寄ったスバルディーラーで2ドアのGC8に一目惚れし購入を決めたという。以来、25年に渡って自分好みの仕様へとモディファイを続けてきたのだ。
エンジンはEJ20ベースにヴォスナーの鍛造ピストンやJUNのI断面コンロッド、東名パワードのEJ26用鍛造クランクを組み込み、排気量を2.3Lまで拡大。すでに製作から8年が経過しており、いつ壊れてもおかしくない状態とのことだが、パワフルなフィーリングは健在だ。
タービンはレスポンスを重視して、ビレットブレード仕様のGT3037S改をセット。制御はF-CON Vプロによるもので、出力は555ps&55kgmをマークしている。
インタークーラーはHKSのRタイプを前置きで装着。高回転、高負荷時の失火対策としてMDIもインストール済みだ。
10年以上、愛用しているというビルシュタイン車高調(F14kg/mm R12kg/mm)は、減衰力固定式。アンダー気味だったが、千葉県のアッジオクリエイトでセッティングを見直してもらった所、ニュートラルに近いハンドリングになったそうだ。
ブレーキキャリパーはフロントがエンドレスの6ポット、リヤがGDB純正ブレンボ(リヤ用)という組み合わせだ。
ホイールは軽さと剛性に定評のあるボルクレーシングTE37SL(FR11J+18)。これに295/30-18サイズのアドバンA050-GSコンパウンドを組み込む。ちなみに、タイヤ代はクラウドファンディングを募り、資金の一部を捻出したそう。スバル好き仲間に支えられながらAttack筑波に参戦しているというわけだ。
室内はスパルタンなシングルシート仕様だが、ストリートカーということでヒーターはキープ。ロールケージはアクティブモータースポーツ製のダッシュ貫通型14点式で固定はフル溶接だ。車重は純正とほぼ同等の約1200kgとのこと。
コンソール周りにデフィの3連メーターやEVC、F-CON Vプロをインストール。ミッションは強度面に難ありと言われるGC8純正からGDB純正6速に載せ換え、合わせて駆動配分を担うDCCDも移植している。
美しいエクステリアもこのGC8のチャームポイント。片側100mmワイドのフェンダーは“ボディショップニュータイプ”による作品(ワンオフ)で、ワイドタイヤが干渉しないよう大幅なアーチ上げ加工も行われている。そこにアビス製の22B仕様フロントバンパーなどを組み合わせ、2000年シーズンのWRカーを彷彿とさせるスタイリングを作り上げたのだ。
さらにルーフやドアといった外板パネルのカーボン化も敢行。車体上部の軽量化がもたらす恩恵は凄まじく「このメニューのおかげで筑波1分切りできましたからね」とオーナー。
新車購入から約25年、数え切れぬほどの仕様変更を行いながら進化させてきた真紅のGC8。一途なオーナーの深い愛情はもちろん、バランス重視で仕上げたことがよく伝わってくるスペックだ。
PHOTO:服部真哉/金子信敏/石川大輔