「目指したのはハコスカGT-R!?」HCR32のNAメカチューン仕様が官能的すぎる!

イメージはBNR32ではなくKPGC10!

RB25改2.6Lメカチューン仕様に昂る

パッと見は綺麗なR32型スカイラインGT-R、その実態はFRのHCR32型GTS。まだこのクルマが現役だった1990年代にも、2本ルーバーのグリルやバンパーを交換したコスメ重視のR仕様は目にしたが、鹿児島県出水市の職人系ショップ“部動屋”が手掛けたGTSは、それらとは一味違う独特な存在感を漂わせている。

ベースとなったのは、2ドアGTSシリーズの中で最廉価グレードのRB20DE搭載モデル。セオリー通りならRB20DET、あるいはRB26DETTに換装するところだが、エンジンベイにターボの姿は見当たらず、そこには6連スロットルが装着されたRB25が鎮座する。自然吸気の6気筒で後輪駆動…そう、このクルマがモチーフとしているキャラクターはBNR32ではなくKPGC10、ハコスカGT-Rなのだ。

「と言っても、GT-Rを特別に意識しているわけではなく、単に旧車が好きなんです。ベース車は私が三十そこそこの歳に手に入れたモノで、当時はFCRキャブ仕様にしていました。それから結婚や会社設立と色々忙しくなったので知人の倉庫に長年保管していましたが、4年ほど前に復活。部動屋にレストア&チューニングを依頼しました」と語るのはオーナーの片山さん。

シリンダーブロックはR32後期用のRB25だが、ピストンは圧縮比が高いR34のNEOストレート6用を使用。さらに、排気量がモノを言うNAだけに、RB26用クランクシャフトで2.6L化。ヘッドはNAPRECのハイレスポンスキット仕様で、カムはIN256度、EX264度。ECUはLINKのG4+で、街乗りでの扱い易さも考慮し、NVCSを生かしたセッティングが行われている。

また、最近ミッションをZ34用6速MTに変更。ワインディングでの楽しさが、より一層高められたという。

フジツボ製EXマニも自慢の逸品。マフラーは部動屋のワンオフオリジナルで、旧車ファンにはたまらないL型メカチューン的なサウンドを放つ。

旧車サイズのホイールを履きこなすために取り付けたGT-Rタイプのフェンダーはフロントがステージ21、リヤはファイナルコネクション。シャコタンとは一線を画した車高がいかにも“通”っぽい。

外観はフェンダーこそBNR32風にモディファイされているが、サイドシルプロテクターは装着されず、『R』の赤バッジもどこにも見当たらない。

旧車らしさへの拘りが色濃くにじみ出ているのが足元だ。ロープロファイルの高性能タイヤや最新デザインのホイールを履くためにハブを5穴化する例はよくあるが、片山さんは「旧車向けの小径ワイドリムが履けなくなる」という理由から、純正の4穴をキープ。リム幅7.5JのボルクレーシングTE37Vに、16インチのヨコハマSドライブを組み合わせている。

その他、スピリット車高調による控えめなローダウンは最適な減衰特性の確保に加え、毎日でも乗りたくなる快適性を考慮したものだ。

本文中にも記した通り、「R仕様」ではないため、サイドシルプロテクターやリヤのマッドガードは省略。R純正のリヤスポイラーも「チンスポ+板ッパネ」という旧車の定番スタイルのノリを表現したもの。

シンプルかつ硬派に徹したルックスと、NA6発が奏でるメカニカルなサウンド。昭和の旧車テイストがタップリ凝縮された仕上がりは、まさに絶品だ!

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PHOTO:西野キヨシ/TEXT:高橋陽介
取材協力:チューニングファクトリー部動屋 鹿児島県出水市高尾野町下高尾野2247-1 TEL:0996-82-5176

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