目次
ハヤブサ用4連スロットルを流用した高回転型のNAユニットを搭載
ギャラリーを圧倒する鬼キャンのスタンス仕様!
明らかに何かがおかしいこのPS13シルビアは、岡山県の異端ビルダー“街角R”がかつて製作したドリフト仕様だ。とにもかくにも強烈なシャコタン&鬼キャンは圧巻の一言。このスタイルは、ショーカーとしても映えるヤンチャな旧車をコンセプトとしているが、その作り込みは単なる勢いだけではない真剣なもの。
まず、シルビアのドリフト仕様としては珍しいNAエンジンには、激速バイクとして名高いハヤブサ用の4連スロットルを流用。エンジン本体はライトチューンのため出力こそ160psに留まるが、そのレスポンスとサウンド、高回転域のフィーリングはターボチューンでは得られぬ官能的な仕上がりを誇る。また、エンジンルームもショーカーとして通用するよう、ブレーキの配管やハーネスが目立たぬように加工処理、いわゆるワイヤータックが施されているのもポイントだ。
インマニはノーマルをベースに加工して製作。制御は純正ECUベースのROMチューンとし、エアフロレスのDジェトロ仕様としている。
純正のカップリングファンでは心もとないため、ワンオフの美しいシュラウドを製作した上で電動ファン化を敢行。
ストラットタワーをはじめ、走行中に負荷がかかりやすい部分にはスポット増し&パネル等でキッチリと補強が施される。また、室内には7点式ロールケージも組み込まれ、剛強ボディを作り上げている。
ちなみに、街角Rと言えば“切れ角アップナックル”で知られるブランド。林代表自らが峠やサーキットを走り込んできた経験を活かして、古くからナックルの加工を行なってきていたこともあり、近年のナックルブームが不思議に感じるくらいだという。もちろん、この車両にもショート化された街角ナックルが装着されている。サスはオリジナル車高調(F10kg/mm R9kg/mm)を組む。
リヤキャンバーはなんとネガ20度! この驚異のネガキャンを達成するために、アッパーマウントは全寝かし&ロアアームは50mmほど延長している。まともに走れるのか不安になるレベルだが、鬼キャン化によりタイヤの接地面積が減ることで、非力なNAエンジンでもドリフトコントロールしやすくなるのだとか。
キャンバー角に加え、ボディからオーバーフェンダー、そしてリムへと繋がるライン作りも林代表の拘りポイント。ビス留めのオーバーフェンダーは240Zタイプとなる。
ホイールは往年のSSRマークII(14インチ)でサイズはフロント9.5J、リヤ10.5J。タイヤはフロントがアドバンネオバでリヤはケンダ、サイズは前後185/60だ。
インテリアは赤を基調にコーディネイト。また、ステアリングは拘りのグラントにスピンナーをセット。センターに9000rpmスケールのタコが装備されたレーシーなメーターは、前期型S13NA用(だったと思う)とのこと。ミッションはS14ターボ用を換装している。
この車高でサーキットを走っても、サスペンションやタイヤ、フェンダーの干渉など走行の弊害が起こらぬよう、リヤナックルやアーム類は計算しながら加工が加えられている。見た目のヤンチャさとは裏腹に、至極マジメに作り込まれたスーパーチューンドなのである。