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SST車ベースでイージードライブも可能な465馬力仕様を実現!
谷口信輝による峠インプレッション
ランエボの最終進化系となるランエボX。AYCやACDなど電子制御デバイスの活用により、誰でも安全に速く走れるクルマへと進化したが、2ペダル式のセミAT「TC-SST」は強度面の不安からチューニング向きではないと囁かれ、ハイパワーを求めるチューナーは皆無に等しかった。
しかし、専用強化クラッチの登場やミッションECUデータの解析により、現在は安心してパワーアップできる環境が整っている。
実際に今回紹介するランエボXは、老舗“Gフォース”の手により2.2L仕様で465psまで出力を高め、街中ではイージードライブが可能で、いざとなれば圧倒的な速さを発揮する理想のマシンに仕上がっている。富士スピードウェイ1分51秒〜52秒というタイムを聞けば、このチューンドの完成度の高さが分かるというものだ。
心臓部の4B11は、コスワース2.2Lキットを軸に構築。4B11の排気量アップといえば純正クランクを加工した2.3Lキットもあるが、ストロークが長くトルク重視な上、コンロッドのピン径が細くなり耐久性に劣る。サーキットユーザーなど高回転多用派には信頼性の高い2.2L化を推奨している。
そこに作用角270度のハイカムを組み込んだカスタムヘッドや、キャタピラー用というMHI TF0607タービンを組み合わせて実測で465ps/58.3kgmを発揮。インジェクターは900cc、燃料ポンプは295L/hの大容量タイプへと変更し、ECU-TEKで現車合わせセッティングを施している。
タービンアウトレットやEXマニ、フロントパイプやチタンマフラーなど、排気系は全てGフォースのオリジナル品で統一。排圧のストレスを無くすことでタービンの性能をフル発揮させているのだ。
SSTモデルは450psを超えると確実にクラッチが滑るが、このマシンではオリジナルの強化クラッチとHKSのSSTクーラー、そして独自のECUチューンで対策済み。ちなみに初期型はSST関連のトラブルが多い。これはクラッチの減りをECUが学習しないのが一因。早めに対策しないと後に大きな出費を余儀なくされることもあるというので要注意だ。
足回りはエンドユーザーから絶大な支持を受けている、オーリンズDFVベースのオリジナル車高調でセットアップ。スプリングはハイパコ(F900ポンド R800ポンド)だ。
ブレーキはエンドレスのモノブロックキャリパー(F6ポット R4ポット)とビッグローター(F370mm R332mm)の組み合わせ。ホイールはボルクレーシングZE40(11J×18+15)でタイヤには295/30サイズのアドバンネオバAD08Rを前後にセットする。
エクステリアメイクの中核を成すバリスのワイドボディキットは、2種類あるうちのバージョン1と呼ばれるモデルだ。今なお世界中のランエボユーザー達からオーダーが入るほどの大ヒット作なのだが、Gフォースのマシンは、フロントにランエボXのアンダーステアを解消するためにバリスが開発したオプションパーツ(ディフューザー/カナード)を追加し、チューンド指数をさらに高める。
室内はアルカンターラ張りのレカロシートを装着し、シンプルな高級感を演出。
このチューンドを峠で試乗した谷口信輝選手は「ハイスピードで曲がっていける感覚がビシビシと伝わってくるから、攻めたくなるね。安定感が凄い。エンジンもパワフルで、下からスーッと一気に加速する。今回はパドルシフトには触らずにATモードのままで走ったけど、シフトはしっかり引っ張ってくれるし、とてもスポーティな味付けになっている。もちろんサーキットでもセミATだから遅いとか、そういうハンデは全くない。むしろ下手にマニュアル操作するよりも、こっちの方が速く走れるんじゃないかな」と評価。
ランエボの全てを知り尽くしたGフォースならではの「技」が、あらゆるパートに注ぎ込まれたSST仕様。プロドライバーをも納得させるそのメイキングは、流石としか言いようがない。
●取材協力:Gフォース 神奈川県横浜市鶴見区獅子ヶ谷2-39-68 TEL:045-716-8013
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