目次
1.9L化+GTスーパーチャージャー仕様で300馬力到達!
1ZZエンジンベースでパワー&レスポンスアップを実現
トヨタZZ系エンジンのチューニングを得意とする大阪の“トライアル”では、これまで数々のメニューを確立してきた。中でもMR-Sに対しては、もはや定番と言える2ZZ-GE換装、その排気量を2.0Lに拡大するオリジナル3ZZキットの展開、さらにモアパワーを望むユーザーに向けたボルトオンターボキットのラインナップ…という具合だ。
そのメニューに加えられたのが『GT200スーパーチャージャーキット』。1ZZ-FEにHKSのGTS7040をボルトオン装着でき、燃料系の大容量化とパワーFCによる制御が前提になるが、最大ブースト圧0.5キロ時に200psを発揮する。
遠心式スーパーチャージャーは、オリジナルブラケットを介してシリンダーブロック後方に装着される。キット価格は70万8400円。ノーマル車ベースで製作する場合は、別途EXマニ、プラグ、パワーFC、各種ショートパーツなどが必要で、工賃込み約100万円となる。
今回取材したトライアルのオリジナルワイドボディキットで迫力を増したMR-Sは、さらにエンジン本体もチューニング。腰下は、シリンダーブロックに戸田レーシングのパワーライナー(スリーブ)キットを打ち込んだ上で同社の81.0φ鍛造ピストンを使用。排気量を1794ccから1886ccまで拡大している。
また、パワーアップに伴ってネックになるコンロッドは強度に優れるH断面タイプに交換。ヘッド周りではカムシャフト&バルブスプリングを交換して高回転、高出力化に対応させている。ちなみに、戸田レーシングの鍛造ピストンはNAチューン用で、そのまま組むと圧縮比が11台と高いため、デモカーでは燃焼室加工によって圧縮比を9.8前後まで落としている。
エンジン制御はパワーFCが担当。燃調、点火時期はもちろん、VVT-iの最適化やレブリミットの引き上げ(7200→8000rpm)なども行われる。
排気系はEXマニ、マフラーとも完全なワンオフ品。排気効率のみを追求した超ショート設計で、高回転域まで回した時のエキゾーストサウンドは刺激的の一言だ。
この仕様で最大ブースト圧を0.7キロに設定することで、パワーは300ps弱まで向上。それに合わせてORCメタルシングルでのクラッチ強化やTRD機械式LSDの装着など、駆動系にも手が入れられている。
一方のサスペンションは、横剛性に優れる倒立式を採用したアペックスタイプVを装着。バネレートは前後とも10kg/mmとなる。また、フロントブレーキはポットキャリパー+332mmローターで構成されるORCブレーキシステムで強化済みだ。
サーキット走行を見据えて運転席はレカロSP-GTIIレッドファルコンに交換。室内にはサイドバーを持つ6点式ロールケージも組まれる。
助手席のグローブボックス内にアペックス油温、油圧、ブースト、排気温計をセット。メーターパネル右側にはFCコマンダーも確認できる。
乗り味は強烈で、2500rpm付近からスーパーチャージャーの過給効果が感じられ、エンジン回転の上昇に合わせてノーマルを一回り太らせたようなトルクが繰り出される。ターボのように、ある回転域からパワーやトルクが2次曲線的に盛り上がるわけではないため「おっ!」と驚くような加速感ではないが、全域で速さが上乗せされているのはもちろん、その特性が街乗りでの扱いやすさも生み出している。
何より、アクセルオンに対して即座にトルクが立ち上がり、NAフィールのまま加速していく様は、一般的なスポーツカーとは一味違うMR-Sの性格にベストマッチと言えるのではないだろうか。
●取材協力:トライアル 大阪府堺市美原区丹上87-1 TEL:072-369-3539
TEXT:Kentaro HIROSHIMA
【関連リンク】
トライアル
http://www.trial.co.jp/