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将来的には“人力4WS機構”も実装予定!?
4ターボシルビアを仕上げた鬼才の新作は魔改造セラだ!
かつて2JZ-GTE改3.1L+4ターボ仕様の魔改造シルビアを製作し、チューニング界に衝撃を与えた栃木県のチューニングショップ“キャロラインレーシング”(CLR)渡辺拓郎代表が、またとんでもないモンスターを世に送り出そうとしている。
それが、ここで紹介する前後にエンジンを搭載したツインエンジン仕様のトヨタ・セラ「双竜」だ。
「90年代にモンスター田嶋さんのエスクードを見てから憧れ続けていたんです。メカをやる上で避けて通れないのがツインエンジンだなと(笑) ガルウイングでインパクト抜群のセラがちょうど在庫にあったので、長年の思いを形にするためにコイツで製作をスタートしました」とは拓郎さん。
まずはフロントのエンジンから。シルビアのイメージが強い拓郎さんだけに、当初からSR20DETと決めていたそうだ。もちろんノーマルではなく、腰下はCLRオリジナルの鍛造ピストンとコンロッドで強化し、ヘッドには可変カム機構を備えたVEヘッドを搭載。そこに、TD07-25Gタービンを組み合わせてブースト1.4キロ時に550psを発生させる。ベースエンジンはS13用だが、これを横置きで配置しているのもポイントだ。
一方のリヤエンジンは、EP3型シビックに搭載されていたK20Aをベースに、ワイセコピストン等で強化した上で同じくTD07-25Gタービンをドッキング。ブースト1.1キロ時に500psを発生させる仕様だ。
同じエンジンの方が何かと都合が良いように思えるが、「VEヘッドって日産版のVTECですよね。それに合わせるんだったら、やっぱりホンダのVTECしかないと思ったんですよ! ちなみに、シャシダイテストでは1050psを記録していますよ!」とのこと。
ミッションは、前後それぞれのエンジンにEP3の純正6速をドッキング。つまり、ツインエンジン&ツインミッション仕様なのである。この2つのミッションからリンケージで1つのシフトノブに接続、室内でシフトノブを1速に入れると前後ミッションが同時に1速に入る…というアナログ的な仕組みだ。
その他、前後の駆動系は全てEP3用を加工移植。フロントエンジンはフロントタイヤのみを、リヤエンジンはリヤタイヤのみを回すシステムで、同一ギヤ比のミッション&ファイナルを前後に備えることで、駆動の同調を図っているそうだ。
マネージメントはフロントのSR20DETをモーテックM800が、リヤのK20AをモーテックM400がそれぞれ担当。電子制御スロットル化も可能なフルコン制御でありながら、前後にワイヤースロットルを備えている理由については「バッテリーが上がった時に押しがけできないと不便なので…」という意外すぎる回答が…。
クラッチは500ps対応のOS技研ツインプレートを組んでいるが、前後同時に操作する必要があるため、シフトチェンジするだけでもかなりの重労働となる。生半可な踏力では足が滑ってしまうらしく、クラッチペダル上部には滑り止めのストッパーが装着されている。
完成度は現段階で80パーセント程度。今後は、細部を煮詰めながらドリフトスペックとして進化させていくそうだが、拓郎さんの脳裏にはさらなるスーパーエボリューション計画が巡っていたりする。それが、“人力4WS化”である。
「フロントはFD2のフロントサスメンバーを、リヤはDC5のフロントサスメンバーを採用しているのですが、これは将来的に4WS機構を設けるための布石なんです。助手席には後輪の舵を切るためのステアリングを設置する予定で、僕がフロントのステアリングを、助手席の人にリヤのステアリングを操作してもらって、二人一組でドリフトすれば、 異次元のドリフトが繰り出せるんじゃないか…と」。
目指すは、ハリウッド映画“パシフィック・リム”の世界観。奇想天外な発想を次々とカタチにしてきた男だけに、この想定外チューンドがサーキットを滑走する日も近いはずだ。
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キャロラインレーシング
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