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トップチューナーによる第二世代GT-R補完計画
徹底リフレッシュを行いベースポテンシャルを引き上げる
誕生からすでに30年以上が経過し、チューニングアプローチは熟成の域に達した感のあるBNR32。そんな第二世代GT-Rのファーストモデルに、現代の技術をフル投入して『真なる扱いやすさ』を求めたのが、名門“緑整備センター”だ。
その手法は過激なパワーアップなどではなく、ベースポテンシャルを尊重しながら燃焼環境を現代流のアイディアで改善するというもの。
そのため、エンジン内部には手を加えず、吸排気とそれに伴うフューエル系、エンジンマネージメントの刷新が行なわれている程度。出力も実測324ps/42kgm(ブースト1.0キロ)に留めている。
インテークは、ノーマルボックス+BMCスポーツフィルターのコンビでフレッシュエアのヒートを抑えながら十分な吸気環境を確保。また、エアフロセンサーには高精度のR35用を、インジェクターには霧化特性に優れた12ホール式をそれぞれ組み込んでいる。
排気系はフロントパイプから出口まで、オリジナルの高効率エキゾーストシステムをセット。エンジンの正常稼働には欠かせない吸排気環境と理想的な点火、それに合わせたECUのセッティングが行なわれているのだ。
足回りはオリジナルセッティングのアラゴスタ製車高調(F11kg/mm R8kg/mm)をセット。ノーマルから50mm程度のローダウンが施され、高すぎず低すぎずのベストバランスを狙う。
さらに、アッパーリンクを調整式に変更してタイヤ接地面の左右差を含めてアライメントを適正化。ブッシュ類ももちろん全て打ち替えられ、適材適所で純正と強化品を使い分けている。
ブレーキはエンドレスと共同開発したGT-R専用キットを装着。ストリート向けのローターサイズはフロントに355mm、リヤに330mmを組み合わせ、エンドレスの鍛造キャリパーによって剛性感も高められている。走る、曲がる、止まるの信頼性をキッチリと高めているのだ。
足元には、高強度&超軽量を誇る鍛造1ピースモデルの最高峰“ボルクレーシングTE037 6061(9.5J×19)”と、上質なミシュランパイロットスポーツ(255/30-19)をインストール。車体作りひとつひとつに現代の最高レベルを投入することで、BNR32を進化させているだ。
インテリアはコンクールコンディションと呼べるほどの美しさ。R32系だとダメージが目立つダッシュボードも非常に綺麗な状態だ。ナビやオーディオも完備されており、使い勝手においても現代のマシンに負けないレベルを実現している。
もちろんこれだけのメニューで一新するとなると、ベース車のコンディションに頼る部分は大きい。そのため、劣化した各部をリフレッシュするのは必要な基本作業なのである。
その他、エアコンのR134a化や独自のダイレクトイグニッションシステム、ライティングパーツのフルLED化など、BNR32の古さやネガ要素を払拭する調律を全方位に敢行。まさに、ノーマルリファインという最適解。老舗ならでは作品だ。
●取材協力:緑整備センター 神奈川県横浜市都筑区川和町140 TEL:045-933-1101
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