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ロータリーフィーリングを楽しめる希少なセダン!
当時のマツダらしさを詰め込んだマニアックモデル
5代目ルーチェとなるHC型の登場は1986年。フォーマルな4ドアセダンとスタイリッシュなハードトップ、2種類のボディが用意された。
エンジンは当初、FE(2.0L・直4/82ps)、JF(2.0L・V6/110ps)、JF-T(同ターボ/145ps)で、ハードトップには13B-T(180ps)も搭載。翌年JE(3.0L・V6/160ps)を追加し、DOHC仕様では最高出力が200psに向上。モデル自体も後期型となった。取材車両は13B-T搭載の前期型ロータリーターボリミテッドだ。
13B-TはFC3SサバンナRX-7にも搭載され、改良型タービンの採用などにより後期型で205ps、さらに排気系もリファインした∞(アンフィニ)では215psまでパワーアップしたが、HC型ルーチェは最後まで180psのままだった。また、ミッションは5速MTが設定されず、4速ATのみとされたのもFC3Sとの大きな違いと言える。
エンジンはターボ化に伴う圧縮比の低さから、過給効果が望めない3000rpm以下の領域でトルク感が少し薄い印象。しかし、ターボが本格的に稼働し始める3500rpm以上は、タコメーターの針の動きに合わせてパワーもグングン盛り上がる。フリクションロスを感じることなく、どこまでもスムーズに吹け上がっていくフィーリングはロータリーエンジンならでは。そのパワフルな加速感は、とてもATのラグジュアリーセダンとは思えないものだ。
ダッシュボードは横長のメータークラスターを採用。ステアリングホイールはモモ製のマツダロゴ入り純正オプション品が装着される。メーターは右からタコメーター、スピードメーター、燃料計、電圧計、水温計。
クッションが厚く、ホールド性よりも座り心地や快適性を重視したシート。純正オプションのハーフシートカバーがノスタルジックな雰囲気を漂わせる。
マフラーエンドはレシプロ車がシングル出し、ロータリー車がデュアル出し。そのうち1本はメインサイレンサー前方から迂回するようにレイアウトされる。決してサーマルリアクター用ではないので注意。
ホイールはBBS製を装着。センターキャップは、以前オーナーが乗っていたファミリアアンフィニ用が組み合わされる。タイヤはDNAエコスで純正装着サイズの195/65R15を履く。
リミテッド(とロイヤルクラシック)には標準で電子制御サスペンションが備わる。これはスイッチ操作で2つのモードを任意に切り替えられる装備だけど、面白いくらいに乗り味が変化するのだ。
まず、快適性重視の“ソフト”は当たりが柔らかく、確かに乗り心地がいい。でも、ロールやピッチングが大きく、ステアリング操作に対して明らかにボディが遅れてついてくる。それを“スポーツ”に切り替えるとフィーリングが激変。ステアリングホイールやシートを通して路面の状況を逐一伝えてくれるほどソリッドな印象になる。もちろん、ロール量は明らかに減少。素早いステアリング操作に対しても挙動の追従遅れがほとんどなく、ハンドリングに関してはスポーツセダンそのものと言っていい。
車種やグレードを問わず、スポーティな走りがマツダ車の伝統。ロータリーターボを搭載するHC型ルーチェは、やはりその期待を裏切らなかった。
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