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技術の伝承と共に示されたチューンドNSXの衰えぬ輝き!
心臓部は390馬力を発生する高回転型C30A
このNSXは、国内屈指のマフラーメーカーとして名を馳せる“カキモトレーシング”のデモカーだ。前後セクションのパイプフレーム化、レーシングカーを彷彿させる空力追求のワイドボディやエアジャッキ。細部をチラリと覗くだけでもその本気度が伝わってくる。
仕様変更を繰り返しながら完成度を高めてきたこのチューンドのテーマは、ずばり「柿本社長が培ってきたクルマ作りの技術継承」である。
エンジンから、足回り、ボディと全てのセクションを客観視し、「どうすればNSXの速さを高めていく事ができるか?」をスタッフ達が熟考を重ねながらアプローチを進めていったのだ。細部を見ていく。
心臓部のC30Aは3.1Lまで排気量を拡大した上で、オリジナルのVTECレス仕様のハイカム(IN295度 EX280度)を投入。これは動弁系の大幅な軽量化と、VTEC切り替え時の急激な油圧変動を抑えるための策だ。
そして吸気系は48φの6連スロットルを投入し、カーボンのインダクションボックスでカバー(写真は画像加工でファンネルが透かされたもの)。排気系はカキモト謹製のスーパーサイレントを軸に構成している。最高出力は390ps&38.5kgm、レブリミットは8200rpmの設定だ。
ミッションは、岡山国際サーキットをターゲットに、トップスピードを240km/hに設定したギヤ比の6速シーケンシャルを奢る。
重要なエンジンマネージメントはモーテックM800で集中管理。今後は、シーケンシャルミッションのクラッチレス操作用シフトカット制御なども組み込んでいく予定だ。
エクステリアは空力優先のメイキングだ。ワイドボディとドライカーボンハッチゲーチは、カキモトレーシングの完全オリジナル。そこに、エスプリのドライカーボンディフューザーを組み合わせてダウンフォースを増強する。
ホイールは18インチのボルクレーシングZE40(12J)で、タイヤにはアドバンA050(F265/35-18 R295/35-19)をセット。フェンダー自体にはまだ余裕があるため、今後タイヤ幅を拡大させていく事も視野に入れている。
足回りも凄まじい。フロントはストラットタワーを作り直した上で、サスペンション形式をストラット式に変更。アーム類もフルワンオフ仕様だ。リヤに関してもピボット位置まで含めて大幅にアレンジしている。
なお、ダンパーはケースこそアラゴスタ製を使用しているが、中身のシムやバルブは全てカキモトレーシングのオリジナル品で組み替えられている。
ブレーキは前後共にレーシングブレンボで、フロントが6ポット+370mmローター、リヤが4ポット+330mmローターという構成だ。
進化の余地を残しつつ、着々と完成度を高めていくカキモトレーシングNSX。今後もその進化を追い続けていきたい。
●取材協力:カキモトレーシング 大阪府堺市西区浜寺船尾町東1-111 TEL:072-265-5050
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