「これがFRカローラ最終型のディーゼル搭載モデルだ!」リッター20キロは固い元祖エコカーを捕獲

2000rpm以下のトルク感がハンパなし!

カローラ初の4速AT搭載がこのモデル

4ドアセダンとしては最後のFRモデルとなった70系カローラ。1979年に発売され、上は1.6L直4DOHCの2T-G型を載せるスポーツグレード1600GTから、下は1.3L直4OHVの4K-U型を搭載するSTD(スタンダード)まで、トヨタの屋台骨を支えるモデルとして一大ラインナップを誇った。

丸型4灯ヘッドライトの前期型に対して、1981年に実施されたマイナーチェンジ後の後期型は角型2灯ヘッドライトを採用。翌1982年2月に追加されたのが、ここで紹介するディーゼルSEになる。

SEは、スポーツグレードのGTを除くと70系カローラの最上級グレードで、そこに1.8Lディーゼル直4SOHCの1C型を搭載。CE70という車両型式を持つこのモデルは大衆セダン初のディーゼルモデルと言われるが、それ以上にディーゼルSEは、カローラとして初めて4速ATを搭載した(当時ガソリンエンジン車はまだ3速AT)モデルとしてエポックメイキングだったことは、意外と知られていない事実かもしれない。

インマニ直付けの巨大なエアクリーナーボックスが目を引くエンジンルーム。1.8Lから始まり、2.0Lの2C、2.2Lの3C…と徐々に排気量を拡大して、商用車を中心に数多くの車種に搭載されたディーゼルエンジンの名機だ。

燃料供給はカム駆動によるプランジャー式ポンプで行われる。

パッと見ただけではガソリン車と見分けがつかず、ディーゼル車であることを示すのはトランクリッド左側に装着された控えめな“DIESEL”エンブレムのみ。日本男児たる者、そんな大和撫子的なつつましさにやはりグッとくるわけで、マニア視点では、たったエンブレムひとつでしか差別化を図っていないところに極度の興奮を覚えずにはいられない。早速、ディテールをチェックしていこう。

時代を感じさせるグリップ部の細いステアリングホイール。最上級グレードだけあって、ダッシュパネルやATセレクターレバー、サイドブレーキはウッド調となる。フロアマットは車名ロゴ入りの純正品。

6000rpmフルスケールで5000rpmからレッドゾーンとなるタコメーターがディーゼル車ならでは。メーターパネル内にはデジタル式時計も付く。

センターコンソールは上からリヤデフォッガー&パーキングランプスイッチ、AMラジオチューナー、エアコン吹き出し口、エアコン操作パネル&シガーソケット、灰皿、1DINオーディオスペース&小物入れ。カセットデッキはナショナル製だ。

座り心地が良く、座面の高さ調整も可能な運転席。パワーアシストなしのステアリングを操作するため、必然的にドライビングポジションはアップライト気味になる。

後席は前後方向、天地方向ともに余裕があって、大人2人がゆったり乗れる。クッションはソフトで座り心地も快適だ。

簡易的なマットが敷かれるだけで、左右のトリムなどは省かれたトランクルーム。最上級グレードといっても、基本は大衆セダンだということを思い知らされる瞬間だ。もちろん、容量は十分に実用的。

当時の純正オプションと思われるドアバイザー。今どきは半透明の樹脂製がほとんどだけど、ピカピカのステンレス製というところが80年代らしい。見た目の高級感アップだけでなく、雨の日の換気などに役立つ機能性も併せ持つ。

センターキャップに“T”マークが入った純正13インチスチールホイール。メッキリムが最上級グレードの足元をきらびやかに演出する。いやはや、よくこの状態で残っていたとつくづく思う。そこに組み合わされるタイヤは165/70R13サイズのナンカンエコネックスNA-1だ。

それではお待ちかねの試乗タイムだ。運転席に座った感じは当たり前だが、普通に70系カローラ。が、タコメーターを見て異変に気付く。6000rpmフルスケールで5000rpmからがレッドゾーン!? 高回転型エンジンを載せたスポーツモデルの逆パターンというのは、なかなか新鮮だ。

イグニッションオンでグローランプが消えるのを待ち、エンジン始動。さすが40年近くも前のディーゼル、アイドリング時の音も振動も盛大だ。

セレクターレバーをDレンジに入れて発進。アクセルペダルを軽く踏み込んだくらいの領域、1500~2000rpmのトルク感がものすごい。しかも、それがジワッとにじみ出るように立ち上がるため、クルマがギクシャクした動きを見せることもない。いやいや、これは思ってた以上によく走る! しかし、エンジンが気持ち良く回ってくれるのは2500rpmまで。そこから上は「あれ?」と感じるほど、あからさまに伸びが鈍る。

ちなみに、カタログ燃費は60km/h定地走行で4速AT車26.0km/L、5速MT車30.0km/Lだから、実燃費で20km/L以上は固いのではないかと思う。だとしたら、カローラディーゼルSEは立派なエコカーだ!

■SPECIFICATIONS
車両型式:CE70
全長×全幅×全高:4225×1610×1385mm
ホイールベース:2400mm
トレッド(F/R):1325/1335mm
車両重量:980kg
エンジン型式:1C
エンジン形式:直4SOHC
ボア×ストローク:φ83.0×85.0mm
排気量:1839cc 圧縮比:23.0:1
最高出力:65ps/4500rpm
最大トルク:11.5kgm/3000rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式(F/R):ストラット/リジッド
ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム
タイヤサイズ(FR):165SR13

1 / 13

「「これがFRカローラ最終型のディーゼル搭載モデルだ!」リッター20キロは固い元祖エコカーを捕獲」の1枚めの画像

2 / 13

「「これがFRカローラ最終型のディーゼル搭載モデルだ!」リッター20キロは固い元祖エコカーを捕獲」の2枚めの画像

3 / 13

「「これがFRカローラ最終型のディーゼル搭載モデルだ!」リッター20キロは固い元祖エコカーを捕獲」の3枚めの画像

4 / 13

「「これがFRカローラ最終型のディーゼル搭載モデルだ!」リッター20キロは固い元祖エコカーを捕獲」の4枚めの画像

5 / 13

「「これがFRカローラ最終型のディーゼル搭載モデルだ!」リッター20キロは固い元祖エコカーを捕獲」の5枚めの画像

6 / 13

「「これがFRカローラ最終型のディーゼル搭載モデルだ!」リッター20キロは固い元祖エコカーを捕獲」の6枚めの画像

7 / 13

「「これがFRカローラ最終型のディーゼル搭載モデルだ!」リッター20キロは固い元祖エコカーを捕獲」の7枚めの画像

8 / 13

「「これがFRカローラ最終型のディーゼル搭載モデルだ!」リッター20キロは固い元祖エコカーを捕獲」の8枚めの画像

9 / 13

「「これがFRカローラ最終型のディーゼル搭載モデルだ!」リッター20キロは固い元祖エコカーを捕獲」の9枚めの画像

10 / 13

「「これがFRカローラ最終型のディーゼル搭載モデルだ!」リッター20キロは固い元祖エコカーを捕獲」の10枚めの画像

11 / 13

「「これがFRカローラ最終型のディーゼル搭載モデルだ!」リッター20キロは固い元祖エコカーを捕獲」の11枚めの画像

12 / 13

「「これがFRカローラ最終型のディーゼル搭載モデルだ!」リッター20キロは固い元祖エコカーを捕獲」の12枚めの画像

13 / 13

「「これがFRカローラ最終型のディーゼル搭載モデルだ!」リッター20キロは固い元祖エコカーを捕獲」の13枚めの画像

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)

「生産台数2台?この世に存在してはいけないクルマ!? 」世にも奇妙なカルタスセダン1.8Lモデルを捕獲

「このK11マーチ、刺激が強すぎる!」4スロ&ハイコンプ仕様のGA16DEに換装して異次元の走りを実現

「時代を先取りした“小さな高級車”・・・だったのか!?」迷走する日産が放った珍モデル! ローレルスピリット

【関連リンク】
くるまやファミリー
http://www.car-family.com/

キーワードで検索する

著者プロフィール

weboption 近影

weboption