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ECUチューンにより約50馬力アップ!
ターボではあり得ないレスポンスやフィーリングを実現!
同型式のエンジンでターボとNAがある場合、人気が集まるのは決まってターボだ。それはS13~15やER34、JZA80、SW20などを見れば明らかで、280psのVG30DETTと230psのVG30DEが用意されたZ32でも同じだった。
が、Z32が他の車種と少し違ったのは、狭いエンジンルームに3.0L・V6エンジンを押し込んだ結果、熱の問題が噴出したこと。両バンク下にタービンを抱えるVG30DETTでは特に顕著で、エンジンチューンを進めていく上で熱対策は大きな課題の一つとされたのだ。
「ターボかNAか悩みましたが、これから長く乗っていきたいと思っていたので、ターボよりトラブルが少ないと思われるNAを選びました。もちろん、中古車価格が安いということも決め手になりましたけどね」とオーナーの羽根さんが笑う。
ただ、いざ乗ってみると低中速トルクこそあるものの、NAなのにエンジンの吹け上がりに切れがなく、中高回転域のパワー感も今一つという印象を持った。そこで、「何とかならないか」と思った羽根さんは、Z32NAモデルのECUチューンを手掛けるラッシュモータースポーツの存在を知ったのだ。
同社代表の瀬野さんが言う。「Z32のNAモデルは中古車のタマ数が多いですし、頻発するトラブルに嫌気がさして実際ターボからNAに乗り替えた人も少なくありません。そもそもスタイルでZ32を選ぶならNAでもいいわけですよ。VG30DEは元々トルクがあるので、ちょっとイジったら面白くなるのでは?そう思ってECUチューンを始めてみたんです」。
そこでエアフロをR35純正に交換して、当初はF-CON iSでセッティング。パワーはノーマルの176.9ps&21.3kgmから236.1ps&26.3kgmまで向上した。
「ただ、純正ECUに依存しなければならないのでセッティングを詰め切れず、個体差も出がち。手軽にできてコストも抑えた仕様ですが、レスポンスやフィーリングの面では並行して開発していたF-CON VプロVer3.4仕様の断然良かった。なので、こちらをお勧めしています」と瀬野さん。
Vプロの大きなアドバンテージは純正ECUとは関係なく、VQマップを一から構築できる点にある。また、VプロではDジェトロ(圧力)制御が基本だけど、Ver3.4にはオプションマップが複数存在。そこに新たにスロットルマップを作成してα-N(スロットルスピード)制御としているのもポイントと言える。
今回取材した羽根さんのZ32がまさにこの仕様。まず、アクセルペダル操作に対するエンジンのピックアップが格段に良くなっている。中間域のトルクアップも感じられるし、何よりパワーを盛り上げながら7000rpmまで軽々とシャープに吹け上がっていくフィーリングがたまらない。正直、「これがVG30DE!?」と思ってしまうような変貌ぶりに驚いた。
高回転域があまり得意でなく、どこが眠たげだったノーマルの印象は完全に吹き飛び、スポーツユニットと呼ぶに相応しい仕上がり。ともかくECUチューンでVG30DEが劇的に生まれ変わるのは間違いない。「これならターボじゃなくても良いかも?」。試乗を終えて、強くそう思うのだった。
●取材協力:ラッシュモータースポーツ 岐阜県美濃加茂市深田町2-6-32 TEL:0120-691-545
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