「トップシークレットのVR32GT-Rはどのくらい速いの!?」富士スピードウェイで最高速アタックを敢行!

VR38DETT搭載の究極系BNR32を富士で試す!

機関系はもちろんインテリアまでフルでR35化された話題作

R35GT-Rの“ほぼ全て”を移植したBNR32チューンド『VR32』。ご存知、トップシークレットのスモーキー永田が作り上げた伝説のスーパーチューンドだ。

東京オートサロン2017では話題を独占し、カスタムカーコンテストのチューニングカー部門で最優秀賞を獲得したVR32だが、その戦闘力は一体いかほどのものなのだろうか。

早速スモーキーに打診してみたところ、「走らせるなら富士スピードウェイだよね。足回りとかストリート向けだからタイムアタックは厳しいけど、ストレート最高速とかやってみたいな!」と力強い回答。というわけで、周回タイムではなくストレートでの最高速を計測させてもらうことに。

マシンスペックをおさらいしておくと、まず心臓部はR35GT-Rから移植されたVR38DETTだ。強度に不安のあるコンロッドを強化し、トップシークレットのオリジナルタービンを組み合わせて730psを発生。出力だけを聞くとフルチューンのRB26DETTとの差を感じられないが、4500rpm付近で97kgmもの大トルクが発生し、それが高回転域まで持続するというから、まさに異次元レベルである。

バルブ開放時はフルストレートのサイド出しマフラーから排気を行なう。

エキゾースト環境も面白い。リヤテールから覗くのはBNR32純正マフラーで、街乗り時には純正並の消音性能を発揮する。そして全開走行時には中間パイプに仕込まれたバルブが切り替わり、サイドステップ先端に設けられたサイド菅からストレート排気するというギミックを搭載。全ては、大人のスーパーチューンドを目指したスペックだ。

ブレーキキャリパーはR35GT-R純正を装備。

タイヤはRE-71R、フロント245、リヤ275のサイズ違いをマッチング。ホイールはOZレーシングのチャレンジHLT。R35GT-Rの駆動系(ハブまで)移植によって、取り付け面が外側にオフセットしたため特注オフセットしたものを使用する。サスペンションはこのマシンに合わせて製作されたスペシャル品だ。

ボディサイズの小さなBNR32に合わせて要所要所の短縮加工を行なって内装を移植したとのこと。
トランスアクスルのR35GT-Rパワートレインをメンバーごと移植。GR6ミッションの逃げを作るために後席のフロアをカットしている。

言われなければ気付かないほど違和感なくR35GT-Rのコクピット周りが移植されたインテリア。室内の各部はアルカンターラで張り替えられ、高い質感を作り上げている。リヤシートはキャンセルされ、運転席後方にはクリーンウインドウを配置、GR6ミッションをディスプレイする空間として仕上げられる。

パドルシフトが正常に使えるという点はスモーキーが拘ったポイントのひとつだという。

もちろんステアリングもR35GT-R用に交換され、パドルシフトもそのまま移植。その内容は、もはや進化やアップデートという次元を超えたものだ。

オリジナルのG-FORCEリップスポイラーとアンダーパネルを装備。

大人がスマートに乗れることをコンセプトを掲げ、エクステリアの変更は最小限。フロントフェンダーはタイヤを納めるためにわずかに幅を拡大、リップは新たにデザインしたオリジナルアイテムでアンダーパネルと共に製品化されている。リヤセクションの空力改善は、アンダーディフューザーで行う。

アタックを担当したのはレーシングドライバーの菊地靖選手。

文字通りの最強BNR32、レーシングドライバー菊池靖選手を起用して富士スピードウェイで最高速アタックを行なってもらったところ「このクラスのマシンともなると、公道で足回りの全開セッティングなんて不可能。だから今日は探りながら走らせてみたけど、ヤッバイね。R32の軽量ボディにチューンドR35GT-Rのトラクション性能と加速力は、本当にブッ飛んでいく感じ。かつてない恐怖感(笑) 頑張ってストレートで6速吹け切りまで回したよ。足を決めればタイムアタックもいけると思う。いや、凄すぎるなこれは」と絶賛。

GPSロガーでの最高速値は、富士のストレートエンドで最高速289キロをマーク。相当な記録だ。「ボディに合わせて選択したタイヤ&ホイールの外径がR35GT-R(約708mm)に比べて約60mmも小さいから(外径約650mm)、300キロ前に吹け切っちゃったんだね。残念!」とスモーキー永田。

大人が乗れるスーパーチューンドとして、マフラーに選ばれたのはなんとBNR32。実はエキゾーストにはバルブによる切り替え経路があり、必要に応じてサイドのバイパス経路から排気を逃がすことが可能。まさに目から鱗、逆転の発想だ。

密かに狙っていた300キロを出せなかったことに悔しがるスモーキー永田だが、ここまで手の込んだスーパーチューンドが、トラブルを起こさずにキッチリと全開走行できることは本当に凄いことだと思う。トップシークレットの、そしてスモーキー永田の技術力と想像力の高さには舌を巻くばかりだ。

●取材協力:トップシークレット 千葉県千葉市花見川区三角町759-1 TEL:043-216-8808

【関連リンク】
トップシークレット
https://topsecret-jpn.com/

キーワードで検索する

著者プロフィール

weboption 近影

weboption