「名門MCRが進める新型Zチューニングの現在地」徹底したデータ収集の意味とは

冷却系、ブレーキ、足回りの見直しは必須

ARCとのタッグで進めるRZ34チューニング!

今を遡ること20数年前、赤いBNR34がMCRのデモカーだった頃、すでに小林さんは『筑波1分切り、ゼロヨン10秒、最高速300km/h』という明確なコンセプトを掲げていた。

当時、サーキット仕様やゼロヨン仕様、最高速仕様、峠仕様、ドリフト仕様…と、チューニングカーと言えば、ある特定のステージに合わせて作られるのが当たり前だった。だからこそ、高い次元での「トータルバランス」を重視するMCRのマシンメイクは画期的であったし、それが現在の主流になっていることを考えると、時代を大きく先取りしていたとも言える。

もちろん、ARCとのタッグで精力的に進めているRZ34のチューニングに関しても方向性は同じだ。が、小林さんの表情は今一つ晴れない。「RZ34で走った感じ、ストリートはいいと思う。楽しめるし、そこそこ速いし。でも、サーキットがねぇ。特に富士みたいに全開時間が長いとあちこちに問題が出てきてさ…」。

例えば、エンジン系でいくと吸気温。冬場でも富士を1周するだけで60度まで上昇してしまう。RZ34は吸気温が50度を超えると点火時期を落とすため、本来の性能が発揮できなくなってしまうのだ。

そこで、走行中のクルマの状況をできるだけ詳しく知るため、小林さんはとにかくデータを収集。回転数やブースト圧、スロットル開度といったエンジン関係は言うまでもなく、前後Gや横G、ヨーレイト、さらにはセンサーを追加することで、マスターシリンダーや4輪のブレーキフルード圧までもロギングしていたりする。さらに、各種温度を把握するためARCでもセンサーを装着。それらの項目数は計50を数えるほどだ。

「テストで走っていて、例えばブレーキの効き方に違和感があったとするでしょ。それはドライバーの俺が受けた感覚というか印象なんだけど、データを確認してみると、やっぱり数値がおかしいことになってたりするわけ。データを取るのは、そういう感覚の“答え合わせ”をするため。その原因を突き止められるかどうかはまた別問題なんだけど、少なくともチューニングを進めていく上ではデータがないと無理だと思うよ」。

こうして、小林さんの感覚とデータを常に照らし合わせながらチューニングが進められるRZ34。これまでに判明したのは前出の吸気温を含め、温度の面で厳しい箇所が多いということ。以下、いずれもノーマルで富士をアタックした時に収集したデータだけど、エンジンオイルは最高130度、デフオイルはたった3周で150度に達し、1周ごとに10度単位で上昇していく傾向にあった。

それを踏まえてARCがエンジンオイルクーラーとデフオイルクーラーを開発。テストでの温度変化を見ながら改良を重ね、ようやく市販化に向けての仕様が固まった。エンジンオイルクーラーは油温を110度以下に抑え、デフオイルクーラーは100~110度で油温を安定させることに成功。同様に吸気温を下げるため、水冷式インタークーラー用の大容量ラジエターも鋭意テスト中だ。

ARCの田中さんが言う。「オイルクーラーやラジエターのコアにはIN側、OUT側それぞれに温度センサーを設けて冷え具合を数値で見ています。ノーマルだと温度が上昇してしまう原因を探り、効果的な対策を施しました」。

また、水温に関しては純正ラジエターのまま、電動ファンの作動ポイントを見直しているところ。「水温が何度になったらファンを回し始めるか。その時、どれくらいの強さで回すか。ARCとそのあたりの情報交換をしながら、最適な作動ポイントを見付けたいと思ってるよ。まずは純正ラジエターでどこまでいけるか、そこを判断しないとね」と小林さん。

カタログスペック405psを誇るVR30DDTTは、「ノーマルでも決して遅くはない」というのが小林さんの評価。ただし、スピードリミッターを解除することによって、予期しない制御が入る可能性があるという。

「スピードリミッターを切るとブースト圧が1.4キロまで上がるんだけど、そこでフェイルセーフが入ってしまうんだ。これにはどうやら個体差があって、ARCと共同で開発を進めているこのRZ34は1.4キロ手前で止まるから、幸いフェイルセーフの介入は回避できてるんだけど。もっとも、それ以前の話として、ターボの容量を考えると1.4キロ以上掛けてもしょうがないんじゃない? というのが本音かな」。

また、サーキット走行ではブレーキ対策も必須。ノーマルは容量が絶対的に不足していて、最低でもパッド交換が必要となる。MCRはシェイクダウン時にエンドレス製パッドを使ったが、それでも連続周回は2周が限界だった。というのも、800度まで上昇してしまう温度に純正ディスクローターが保たなかったからだ。今はエンドレスMONO6TA&4TAキットで強化が図られている。

過酷な状況下でテストを続け、RZ34を鍛え上げるMCR。サーキット連続周回でも音を上げないタフなチューニングカーの誕生に期待したい。

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●取材協力:MCR 千葉県柏市大青田713-2 TEL:04-7199-2845/エーアールシーブレージング TEL:0545-32-0525

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【関連リンク】
MCR
http://www.mcr-ltd.com
エーアールシーブレージング株式会社
https://www.arc-brazing.co.jp/

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