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「第二世代GT-R=旧車」という考え方
予算限度額で購入せず、メンテ費用も確保すべし
相場が高騰している第二世代GT-Rを探す際に、「価格が安い車両よりも予算内で、そこそこの価格から選ぼう」と考えるユーザーは多いはず。
たしかに、中古車購入時は「車両価格が相場より高め=コンディション良好」と考えてしまう。しかし、それは年式や走行距離、修復歴でコンディションを推測しやすい高年式車両のセオリーであり、年数が経過している第二世代GT-Rにも通用するのかどうかは疑問が残る。
そこで、これからBNR32〜BNR34を手に入れて長く乗り続けたいと考えるユーザーのため、リフレッシュに日々取り組んでいる“ガレージヨシダ”を訪問。気になる中古車価格とコンディションの関係、リフレッシュに掛かるコストを尋ねてみた。
「まず中古車価格ですが、そもそも店によって考え方が異なります。例えば、メンテやチューニングなど将来的な付き合いまで踏まえて利益率を抑えた販売価格にしている場合もあれば、GT-Rの相場高騰に乗じて販売価格を闇雲に引き上げているケースもある。そうした部分も理解した上で、中古車価格とコンディションの関係ですが、年式的に旧車である第二世代GT-Rは“価格が高いから安心”できる車両ではありません」とはガレージヨシダ代表の吉田さん。
続けて「走行距離が少なくても機関系は壊れますし、走らせていないことによる固着で思わぬメンテ費用が掛かったりもします。しっかり直されているのか、オーバーホールでリカバリーできるのかを見極めるのはユーザーレベルだと難しいですが、過走行や修復歴アリといった安さの理由がハッキリしている車両を購入してリフレッシュする方が、結果的に安上がりということもあります」。
ちなみに、ここで注目したいのは「年式的に旧車である第二世代GT-R」という言葉。現行モデルにも引けを取らないポテンシャルがあるとはいえ、BNR32はデビューから30年以上、BNR34でも20年以上の年月が経過している。防錆のシーリングひとつにしても寿命を迎えている状態で、旧車なら当然となる錆がボディ各部へ進行しているのだ。
それでは、腐食したボディの実例を見ていこう。走行3万kmの屋内保管でコンディション良好なBCNR33でも、フロア下には錆が散見される。
表面のざらついた部分は飛び石などからのダメージ抑制に効果を発揮するチッピング塗装だが、コストダウンからかBNR34がもっとも施工面積は少ない。これぐらいならシャシーブラックなどで進行を抑制することもできるが、それも本格リフレッシュ時には逆に除去の手間がかかってしまう。
実働状態では気付かないが、タイヤハウス内で巻き上げた石がシーリングにダメージを及ぼして水分混入するとフロア内へと錆が進行してしまうケースも多い。どんなに見た目が綺麗で修復歴なしでも、見えない部分の腐食は避けられない年式に突入しているのだ。
錆を除去せずにパテや鉄板追加で表面的に対処していくと、見た目は綺麗でも中身が朽ち果てているケースだってある。仮にボディリフレッシュ済みとなっていても予算や施工内容が分からず、乗り方によってはダメージも加速するため、手を加えず長く乗れるかの判断は難しい。
「よくBNR32のリヤフェンダーは錆びやすいなどと言われますが、防錆処理はBNR34よりもしっかり施されていて、年式なりの劣化が進んでいるだけ。そうした旧車認識をしっかり持った上で、予算限度額の車両購入とせずに2割程度は機関系や錆対策などのメンテ費用として確保しておくと安心です」。
「厳しいことを言うようですが、第二世代GT-Rの中古相場は、性能に対してのものではなく需要に対してのもの。また、どこまで錆が進行しているかはバラさないと診断できませんし、施工内容もリフレッシュの仕上がりレベルをどこに定めるか次第ですが、全バラから錆除去、フロア下全面コートによる防錆強化など施していくと200〜300万円が目安ですね。完璧な状態を目指して、追加補強やボディの電着塗装まで施していけば1000万円オーバーになります。とりあえずダメージ進行を遅らせたいだけなら、シャシーブラックやノックスドールで錆をカバーするだけでも良いでしょうね」と吉田さん。
これから第二世代GT-Rを購入しようと考えているユーザーにはショッキングな内容かもしれないが、これまで数え切れないほどの歴代GT-Rでコンディションアップを図ってきたガレージヨシダだからこそのアドバイス。車両価格だけに一喜一憂せず、長く付き合っていける1台を見つけ出して欲しい。
PHOTO:南井浩孝
●取材協力:ガレージヨシダ 奈良県吉野郡大淀町越部215-1 TEL:0747-58-8585
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