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長い時間をかけて育て上げたフルチューンZ31の理想像
心臓部はRB26改2.7L+Vカム仕様で600馬力!
ここで紹介する3代目のフェアレディZ(Z31)は、RB20DET搭載モデルのZR-IIをベースにした高速ツーリング仕様だ。
エンジンは、RB20改2.4L仕様からRB26DETT換装へとステップアップし、その後もチューニングを続けて、最終的に辿り着いたのが88φピストンを使った2.7L仕様だった。ヘッドにはHKSの可変バルタイシステム(Vカム)を装着、STEP1ながら可変量の大きいタイプBを選択して全域での効率アップを図っている。
組み合わせるタービンはウエストゲート式のTO4R、最大風量が約600psとストリート仕様の最高峰としてはベストなサイズだ。制御系もステップアップのたびに進化しており、現在はF-CON Vプロでマネージメントする。
ちなみに、これまで数々の仕様を試してきたオーナーが、最も効果絶大と感じたのはVカムシステムによる可変バルタイ化と、Vプロによるセッティングだったそう。この組み合わせによって、低回転域でのトルクが大きく向上しただけでなく、ストリートでの気難しさも一切なくなった。さらに燃費も4km/L→7.5km/Lへと大きく向上したというから驚きだ。
「楽しく高速道路で遠征できることが目的で、特に競争指向のチューニングカーではない」とオーナーは言うものの、可変バルタイ付き600psのエンジンを搭載するとなると、各部までバランスよく手を入れなくては快適なチューンドには仕上がらない。
重要な足回りは、フロントにエナペタル(ビルシュタイン)車高調を組み、リヤはコイルオーバー化したクァンタム車高調を装備。前後で銘柄が異なるが、走行性能は全く問題ないそうだ。ブッシュ類も強化品に変更済みだ。
そしてブレーキも、一般的な日産純正4ポット流用からはじまり、ステップアップしながら前後エンドレス(フロント6ポット/リヤ4ポット)のキャリパーシステムという仕様まで進化。リヤのサイドブレーキはインナーシュー仕様となる。ホイールはボルクレーシングCE28の18インチだ。
一方の室内はノーマル然とした仕上がりだ。パープルのレカロシートと、ナカミチのオーディオシステムが栄える。くたびれたボディは、7点式ロールケージで矯正。これにより、Tバールーフの定番トラブルでもある雨漏りも解決したそうだ。
そしてエクステリア。RB20DET搭載車は本来ナローボディ仕様しか存在しないが、この車両はフロントにワイドボディモデルのフェンダーを移植しつつ、リヤも北米アニバーサリー仕様のオーバーフェンダーをインストールすることでナチュラルなワイドシルエットを実現。
カーボンボンネットのセンターには、オーナーがワンポイントで取り入れたというZ33エンブレムが誇らしげに輝く。 世代は違えど、マッチングは完璧だ。
新車購入後、長い時間と労力を費やしながらコツコツと進化させてきた漆黒のZ31。オーナーの深い愛情はもちろん、バランス重視で仕上げたことがよく伝わってくるハイスペック仕様だ。
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