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日本のチューニングシーンは、常にZと共に進化してきた
OPT創刊当初からチューニングカーの実力測定として行なわれてきたJARI(日本自動車研究所)高速周回路、通称“谷田部”での最高速アタック。腕に覚えのあるチューナーが全国から集まり、最速の称号を得るために鎬を削ったが、空力性能に優れるフェアレディZは常にその中心的な存在だった。ここではS30からZ32まで、谷田部のバンクを駆け抜けた主力マシンを紹介する。
チャレンジS30:250.00km/h(1982年2月号掲載)
第3回テストに参加したチャレンジは大阪トライアルの前身とも言えるショップ。注目はノーマルに対して全高を80mm低めたチョップドボディ。前面投影面積を小さくして空気抵抗を抑える大掛かりなモディファイが施された他、フロア下面の整流も図ることでバンク内でも安定した挙動を見せた。エンジンはL28改3.0Lを搭載。
柿本レーシングS30:263.73km/h(1982年2月号掲載)
関西屈指のL型チューナーとして知られていた柿本レーシング。エンジンは、オリジナルピストン&コンロッドを組んだL28改3.1L仕様が搭載された。この時が初めての最高速アタックだったにも関わらず、それまでSS久保が持っていたL型メカチューンの記録257.60km/hを更新。いきなり実力の高さを見せ付けた。
ATS・BM S30:271.18km/h(1982年12月号掲載)
レース界で知られるスリーテックチューンのL28改3.0L仕様を搭載。G20用89.0φピストンに純正加工クランクシャフト、ビッグバルブや78度カム、強化バルブスプリングなどが組まれ、燃料供給は3連装されたソレックス50φキャブが担当する。L型メカチューン最速の座に就き、後に273.24km/hまで記録を伸ばした。
トライアルS130:279.07km/h(1984年8月号掲載)
L28改3.1L+ギャレット製T04シングル仕様はブースト圧0.75キロ時に310psを発揮。アタック時は最大1.0キロを掛けた。さらに翌年、トライアルはL28改2.9L+エアリサーチ製T04ツイン仕様のS130で307.95km/hをマーク。HKS M300の記録(301.25km/h)を破り、国産チューンド最速マシンとなった。
エスプリS130:284.58km/h(1985年8月号掲載)
エスプリが狙っていたのは「シングルターボでの300km/h」。エンジンはL28改2.9L仕様、ソレックス50φ3連キャブにTD08タービンを組み合わせ、最大ブースト圧1.2キロで450psを発揮した。目標の300km/hには届かなかったが、前年のトライアルS130を上回り、L型シングルターボの記録を更新した。
TBO S130:322.87km/h(1989年3月号掲載)
国内最速を目指した究極のL型チューンド。東名製89φピストン、オリジナルビッグバルブ、272度カムなどを組んだL28改3.1L仕様に2基のIHI製RHC6タービンをセット。ブースト圧1.5キロで450psを発生した。また、同年のボンネビルスピードウィークにも参戦。TO4Sシングル仕様で記録は311.65km/h。
RSヤマモトZ31:305.60km/h(1987年3月号掲載)
見た目はノーマル風だが、オリジナルパーツで組み上げられたVG30ET改3.1L仕様を搭載。カムは68度、2本の700cc追加インジェクターはレビックで制御される。タービンはTD08-29Bで最大ブースト圧1.4キロ時に500psを発揮。前月に300km/hオーバーを達成し、すぐさまその記録を塗り替えた。
HKS関西サービスZ31:333.02km/h(1989年3月号掲載)
当時のRB20DETチューンでは定番だった2.4L+TO4Sシングル仕様とされたエンジンを搭載。ヘッドチューンも抜かりなく、カムはIN264度/EX272度が組まれ、ビッグバルブ化も図られた。スペックは最大ブースト圧1.4キロで500ps以上。同じ200ZR同士の対決となったRSヤマモトには、わずか1.8km/h及ばず。
プロジェクトM Z31:326.53km/h(1989年9月号掲載)
東名製91φ鍛造ピストンを組み、排気量を3.2Lに拡大したVG30ETを搭載。タービンは三菱製TD08-33Bに交換され、パワーは最大ブースト圧1.5キロ時に650psに達した。5速6500rpmで記録した326.53km/hという数値はHKS関西20ソアラの329km/hに次ぐもので、VGエンジン搭載車としては最速だった。
オートセレクトZ32:306.2km/h(1990年10月号掲載)
エンジン本体ノーマルのままタービンを三菱製TD05Gツインに、インタークーラーをトラスト製に交換したストリート仕様。制御系はD-BOXでのDジェトロ化が図られる。最大ブースト圧1.4キロで500ps。バンク走行を考慮して車高ダウンを適度に抑え、ハイキャスキャンセルやバンプラバー加工で直進安定性を確保。
アブフラッグZ32:297.08km/h(1990年12月号掲載)
アブフラッグとして初めての谷田部アタック。ストリート仕様のZ32はエンジン本体には手を入れることなく、タービンを三菱製TD05-16Gツインに交換。インタークーラーはオリジナル前置き4層で、純正書き替えECUで制御する。最大ブースト圧は1.2キロ、パワーは500ps。惜しくも300km/hには届かなかった。
ペントルーフZ32:310.0km/h(1996年9月号掲載)
トラスト製鍛造ピストンとコンロッド、IN/EX共に272度カムが組まれたVG30DETTを搭載。タービンは三菱製TD06L2-20Gツインで最大ブースト圧1.5kg/cm2時に734psを発揮した。ミッションはOS技研5速フルクロス、ファイナル比は3.1に変更。4速8000rpmで311km/hという、ほぼ計算通りの結果を残した。