目次
不動状態だったベース車をオーナーが強い思いでサルベージ
違和感皆無で収まる18インチのアドバンGTホイールもこだわり
5月5日に富士スピードウェイで開催された“ADVANオールフェアレディZミーティング2024”。会場には1500台もの歴代フェアレディZが集結し、その中から「これぞ!」という1台を見極めるのは至難の業。ここで紹介するS130も、ボーッとしていたら思わず取り逃がすところだった。
パッと見は「綺麗に仕上がってるなぁ」という感じの、逆マンハッタンカラーの後期2シーターTバールーフ。しかし、思わず足を止めたのは足元で存在を主張する18インチのアドバンレーシングGTに気が付いたからだ。さらに、フロントバンパー内を覗き込むと巨大な空冷式インタークーラーを発見…となれば、ビンゴ確定だ!!
オーナーの金田さんが、4年前に手に入れたというのがこの1982年式2000ターボTバールーフ。前オーナーがBNR34のRB26DETTエンジンを移植したものの、電装系のトラブルで不動状態に。その個体を譲り受けたという。
まるでノーマルのような収まりを見せるRB26DETTは、純正ECU制御のブーストアップ仕様。問題だった電装系のトラブルは、ハーネス類を全て一新することで解決。FR駆動に合わせて、ミッションはRB25用5速にOSクロスを組み込んで装着している。
KOYOアルミラジエターやブリッツインタークーラー、トラストオイルクーラーなど、冷却系もフルにリニューアル。「快適に乗れる」を基本コンセプトとしたチューンドには、もちろんコンプレッサーとコンデンサーも装着され、真夏でも冷え冷え室内環境を実現。
そしてこのS130が凄いのは、足回りもフルにアップデートが施されている点と言えるだろう。リヤのサスペンションはECR33スカイラインのマルチリンクをサスメンバーごと移植。フロントはS14シルビア用のナックル&ハブを流用し、エンドレスに特注した車高調を装着しているのだ。
ブレーキもエンドレスでフロントは6ポットキャリパー+370mmローター、リヤは4ポットキャリパー+340mmローターをインストール。これら足回りのモディファイは、金田さんが手に入れてから実施したカスタマイズだ。
前後ハブのPCD114.3 5穴化により装着が可能となったアドバンレーシングGT。とはいえ、純正の14インチから4インチアップとなる18インチ(F9.0J R10J)をインストールするのは容易ではなく、前後フェンダーはメタルワークで大幅なワイド化を実施していたりする。
あまりの違和感の無さに単体では分かりづらいが、隣に並んでいたS130の純正フェンダーと比べてみると、その拡張幅が分かるはず。タイヤはフロント235/40、リヤ265/35サイズのアドバンネオバAD09をマッチングさせている。
エクステリアは欧州ターボ仕様をイメージしたメイクで、ゲートスポイラーはリスタード、メーカー不明のカーボンボンネット、USフロントアンダー+汎用リップという組み合わせ。
インテリアも2脚のレカロRMSや吹出口に埋め込まれた3連メーター、タコメーターの変更など、純正のイメージはしっかりとキープしながら見事にアップデートが図られている。
その気になれば普段の足としても不都合なく乗れるというS130改は、令和流の新たな旧車メイキングとして大いに注目すべき存在と言えるだろう。
PHOTO:土屋勇人
●取材イベント:ADVANオールフェアレディZミーティングin富士スピードウェイ2024