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運動性の追求で選択したのは450psのフルチューンSR20DET
当時モノ満載のレジェンド級パーツの数々も一見の価値あり
R32型スカイラインGT-Rと同じく、1989年にデビューした4代目フェアレディZ。直6ツインターボのGT-Rに対し、Z32はV6ツインターボを搭載。どちらも当時の国産車ではトップとなる280psのハイスペックということで、GT-R派とZ派のチューナーはパフォーマンスアップでしのぎを削っていたものだ。そんな中で生まれた、伝説級の魔改造チューンドをオールフェアレディZミーティングで捕獲!
会場内で止まっているだけでも“ただならぬ”オーラを放つホワイトのZ32は、神奈川県の老舗ショップ“オートサービスモリ”がかつてデモカーとして製作したもの。
ベースとなっているのは1990年式のNAエンジン搭載(AT車)モデルで、最大の特徴は運動性能を追求して搭載したSR20DETエンジンだ。現在のオーナーは富田さん。走る実験室としての役目を終えてショップで眠っているのを発見し、18年前に譲り受けたという。
違和感皆無の収まりを見せるSR20DETは、HKSパーツでフルチューンされた2.1L仕様で、HKSのGT3240タービンとの組み合わせで450psを発揮。サージタンクに装着されるのはインフィニティQ45用の大径スロットル。異径パイプによるインテークサクションの処理など、随所に匠の技を感じる仕上がりだ。
エキゾーストマフラーは、チタン製のワンオフ品。フロントバンパー内に装着されるインタークーラーはトラストのR32GT-R用だが、上部のフィンをカットしてラジエターやオイルクーラーに直接走行風を導くレイアウトとしている。ミッションは現在はZ32の5MTを組み合わせているが、デモ車の当時はHKSの6速ドグが装着されていた。
ロールケージが張り巡らされたインテリアも、ほぼ製作された当時のままを維持。メータパネル内にはスタックのマルチメーター、センターコンソールにはサードの油温、油圧、水温など5つの追加メーターをセット。その上にあるEVC3-Proや助手席足元の銀プロ(F-CON Vプロ Ver2.1)など、当時モノの電子パーツの数々も圧巻だ。
装着しているホイールも当時モノの超レアモデルで、アドバンブランドのルーツともいえるヨコハマのシエナジェネレーションⅡ。組み合わされているタイヤも当時一斉を風靡したヨコハマAVS S1-Zだから驚きだ。
エクステリアはフロントバンパーとリヤウイングがトラスト、サイドステップがボメックス、ボンネットがDスピードという構成。もともとは最高速をターゲットとしていたが、サーキットやゼロヨンなど様々なステージでハイパフォーマンスを披露していたらしい。
「以前はサーキット走行もしていましたが、今はイベント参加のみですね。Z32とは思えない軽快さはSRエンジンならではですが、反面低速トルクはないのでパワーバンドを維持するのが大変です」と語ってくれた富田さん。今後も貴重なマシンを長く維持してくれることを期待しよう。
PHOTO:土屋勇人
●取材イベント:ADVANオールフェアレディZミーティングin富士スピードウェイ2024