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プラス500ccの排気量がもたらす圧倒的なトルクフィール!
街乗りから楽しめるRB26DETT改3.1L仕様
高回転域を得意とするRB26DETTは、そのぶん低回転域のトルクが細くストップ&ゴーが繰り返される街乗りではストレスを感じる場面も少なくない。
それを改善する手段としてよく知られるのがVカム化や小径ターボチューンなのだが、それらとはまるで異なるアプローチに挑戦したのが屈指のパワーチューナー“ザウルス”。限界突破の排気量アップを敢行することで、エンジンの特性自体を根本から見直そうと考えたのだ。
コンセプトは通勤や移動も楽しく行えるGT-R。そのために、まず腰下にはOS技研の3.0Lキットを投入。そこからさらにボアアップ(2mmオーバーサイズピストン)を敢行して3.1Lまで排気量を拡大することで、パワーバンドを大幅に低回転化させることに成功したのだ。
ちなみに、OS技研のRB30キットはピストン・コンロッド・クランクを変更するだけの単純なムービングパーツではない。というのも、RB26DETTベースでのボア&ストローク拡大の限界は2.8L程度までが限界だからだ。
そこで、OS技研ではさらにストローク量を拡大するために(73.7mm→86mm)、シリンダーブロックとエンジンの間にスペーサーを挟み込み、スリーブを打ち込む方式を採用。これによりピストンの首振り量を許容範囲内に収めながら、排気量を3.0L(86φ×86mm=2970cc)まで拡大することを可能にしている。
組み合わせるタービンはT78-29Dシングル。GT2530ツインを純正レイアウトで回していた時期もあるが、パワーチューンを趣味とする(!?)林代表には物足りなかったらしく、ミドルクラスのシングルタービンへと移行したそうだ。最高出力はF-CON Vプロ制御で675ps、ピックアップを向上させるために圧縮比はやや高めの9.0:1としているのも特徴だ。
もちろん、その他のパートのチューニングも徹底されている。冷却系では、ARCのサイドフロータイプのラジエターおよび3層インタークーラーを導入し、オイルクーラーはトラスト製をフェンダー内に設置する。
サスペンションはオーリンズの別タンク式で、車高は低めながらしっかりと足が動くようにセットアップ。アーム類はニスモ製に交換され、セッティングの幅を広げている。
ホイールはアドバンレーシングRS、タイヤには前後275/30-19サイズのアドバンネオバAD08を組み合わせる。その隙間から覗くブレーキシステムはF50ブレンボだ。
エクステリアは、ニスモのフロントバンパーやテールランプなども含め、ストリート仕様としてさりげなく要所のみドレスアップしているのが印象的。純正リヤウイングをオリジナルステーでローマウント化しているのもポイントだ。
このチューンドの性能は凄まじく、3500rpm付近でブーストのインターセプトを迎えると、そのまま強大なパワーが8000rpmまで持続するという超ワイドなパワーバンドを実現。GT-Rマイスターの作品らしい、そのポテンシャルの高さには驚異を覚えるほどだ。
●取材協力:ガレージザウルス 埼玉県狭山市入間川4-8-16 TEL:04-2968-9212