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ヴィッツTRDターボ用パーツ移植で過給機化!
8万円で買ったプラッツをDIYで超改造
初代NCP10系ヴィッツの3ボックスセダンモデルとして登場したプラッツ。ヴィッツにはスポーティグレードRSや、TRDが開発したターボモデルが存在したことからクルマ好きの注目を集めたが、プラッツはひと言で言えば実用的なコンパクトセダン。ごくたまにUSDMのベース車両として見かけることはあっても、基本的にチューニングとは無縁のクルマ。そんなプラッツに目を付けたのが、取材車両のオーナー小船さんだ。
「4年前にネットオークションで買いました。5速MT車で最上級グレードの1.5X。これで8万円なら、チューニングベースとしてありだなと思って」。
実は小船さん、プロボックスターボで開催初年度からJPSC(全日本プロボックス/サクシード選手権)に参戦している常連。1NZターボはもう手慣れたもので、プラッツに収まるエンジンはプロボックスターボから移植したものだ。
エンジン本体はノーマルで、耐久性を考えてブースト圧は0.5キロに抑えられる。燃料ポンプとインジェクターはヴィッツTRDターボ用で容量アップ。エアクリーナーボックスもヴィッツTRDターボ用を流用する。タービンはEXマニごとヴィッツターボ用を組み、制御もヴィッツターボ用純正ECUが担当する。インタークーラーはヴィッツターボのトップマウント式を改め、S14用を流用した前置きとなる。
「カプラーが共通だったので、プロボックスターボもヴィッツターボ純正ECUで制御していたのですが、配線が微妙に違うようでエアコンが使えなかったんです。でも、ヴィッツとプラッツは最も近い兄弟モデルだからか、そういう問題は一切ありませんでしたね」と小船さん。
バンパー開口部の奥にセットされたインタークーラー。コアはS14用をベースとして天地を半分に切り詰め、横長に改められる。見た目ノーマル風のプラッツなだけに、「なんで前置きインタークーラーが?」と思う人は多いはず。
最高出力は180ps。クラッチはエクセディカーボンシングルに交換され、ノーマル同等の扱いやすさでパワー&トルクアップに対応する。
足回りはフロントにタナベ、リヤにスーパーオーリンズ車高調をセット。ブレーキはフロントキャリパー、ローター共にヴィッツRS純正流用でサイズアップが図られ、リヤもトーションビームごと移植することで4輪ディスク化を実現している。
ホイールは15インチのアドバンレーシングRG-D2。リム幅7.0J、オフセット+30で、195/50サイズのシバタイヤレヴィマックスR23が組み合わされる。ボディとのマッチングを図るため、ホイールカラーはシャンパンゴールドを選択。
ステアリングホイールとシフトノブが交換されるが、あとは完全にノーマル。室内にボルトオンターボ仕様の形跡はどこにもない。「今のところ追加メーターも付けてません。ちなみに1.5Xは最上級グレードなので、プラッツなのにフルオートエアコンが標準装備なんですよ」とのこと。
タコメーターが付いていないため正確なエンジン回転数は分からないが、過給効果を体感できるのは恐らく2500rpm付近。思いの外、下から効いてくれるから、まず街乗りが非常に楽だ。高めのギヤで走っていても、アクセルペダルを踏み込めばスルスルッ…と加速する。これ、NAの1NZでは到底できない芸当。ブースト控え目の0.5キロでも、やはりボルトオンターボの恩恵は絶大と言うしかない。
さらに、アクセルペダルを深く踏み込んでいくとパワーが二次曲線的に盛り上がり、スピードメーターの針の動きにも鋭さが増す。車重が950kgしかないから速さは相当なものだ。
車種が渋すぎるのは分かってる。しかし、取り立てて特徴のないセダンが予想外の速さを見せたとしたら、こんなに痛快なことはない。純正流用チューンで生み出されたボーイズレーサー。このプラッツターボは、そんな1台なのだ。