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気が付けば30年以上。
新車から保有する現役オーナーが語るBNR32の魅力
「学生の時に初めて買ったのがグランドシビック。社会人になってから180SXに乗り替えました。ただ、正直スポーツカーに乗るつもりはなかったので、実はどちらもAT車だったんです」とオーナーが切り出す。つまり、BNR32は3台目の愛車にして初のMT車だった。
購入を決意したのは、「BNR32が生産中止になる」という噂が流れたから。それまでも気になる存在だったが、「これは買わないと!!」と思い立ち、60回のローンを組み、愛車として迎え入れることになった。時にオーナー25歳。今の常識では想像もつかないが、金利7%という時代のことである。
購入してからは休日のドライブに年間5000kmを走るくらい。ノーマルで乗り続けるつもりだったが、BNR32に乗り始めて1年ほどが過ぎようとしていたある日、そんな思いを覆す“事件”が起こるのだ。オーナーが言う。「クラウンだかシーマだか忘れましたけど、とにかくセダンに煽られまくって。それをきっかけに、“これはイジらないとダメかな”と思うようになったんです」。
そこで、ターボ車チューンの基本とも言える吸排気チューン+ブーストアップを実施。完全なストリート仕様としては十分な速さだった。その後、10万kmに達したのを機にエンジンを載せ換え。当時は、N1ニュルスペックのリビルドエンジンが60~70万円で入手できた。「コスト的にはオーバーホールするよりも断然安かったんですよ。しかも、標準エンジンのプラス10万円くらいでしたから、迷いは全く無かったです」。
それを機にタービンはHKS GT-SSを選択。制御はパワーFCで行なわれることになった。さらにR35純正エアフロ流用、GTIII-SSタービンへの変更、ニスモ燃料ポンプに550ccインジェクター、HKS Vカムの導入など、補機類のバージョンアップを図ったのが今の仕様になる。また、ミッションはBCNR33純正に載せ換えられ、ニスモシングルクラッチとATS LSDで駆動系を強化する。
足回りはオーリンズ車高調を軸に、ニスモ製アームがフルで装着される。ブレーキはトラスト製GREXフロント6ポット、リヤ4ポットキャリパーキットで強化。
メインメーターはニスモ製に交換。スピードメーターは320km/h、タコメーターは1万1000rpmフルスケールとなる。ステアリングホイールはモモチューナーに交換されるが、シートは運転席、助手席共に純正のままとされる。「FCコマンダーも用意してますけど、セッティングのためではなく水温管理用の追加メーターとして使ってます」とアートテック花塚代表の花塚さん。
「金銭的な余裕がなかったのでBCNR33への乗り替えは考えなかったです。BNR34は正直良いなと思いました。けど、BNR32に掛けたチューニング費用を考えると、やはり踏み切れませんでした。ただ、高騰している中古車価格を見ると、あの時、乗り替えておけば良かったなぁ…とは思いますね(笑) まぁ、考えることは色々ありますけど、気が付くと30年以上BNR32に乗っていた。そんな感じですかね」と、オーナーはしみじみ語るのであった。
●取材協力:アートテック花塚 栃木県那須塩原市上厚崎324-8 TEL:0287-62-3218
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